「痛風」になるとお金もかかり生命保険や医療保険の加入も危うくなる

痛風と健康と生命保険

痛風は生活習慣病の1つ

痛風は、突然猛烈な痛みを伴う急性関節炎発作を起こす病気です。
血液中の尿酸値が高くなり、尿酸塩結晶が関節の中に出てくることによって起こります。

痛風発作が起こる直接の原因は尿酸塩結晶による関節炎ですが、もとをたどれば高尿酸血症です。
生活習慣病というと糖尿病や高血圧の方がメジャーですけれど、高尿酸血症も立派な生活習慣病なのをご存じでしょうか。

痛風を起こす高尿酸血症の原因は、何でしょうか?

<高尿酸血症の原因>

【1】過食
【2】大量飲酒
【3】肥満
【4】ストレス
【5】激しい運動
【6】脱水
【7】薬剤による影響
【8】尿酸の排泄機能低下(遺伝による)

痛風患者さんのイメージとしては、肥満体の大柄な男性に多いですね。
痛風のほとんどは、【5】~【8】ではなく、【1】~【4】の生活習慣の乱れによって発症しているのです。

痛風患者の95%は男性で、昔は50歳代が発症年齢のピークだったのが近年は30歳代にピークが移動しています。
ここからわかるのは、働き盛りのビジネスマンの生活習慣が乱れているということ。

現代は、電車も車も便利な時代になりました。
生命保険と健康状態の関係「糖尿病」>でもお伝えしましたが、私達は気をつけていなければ自然と過食になり、30代以降に基礎代謝が落ちてくると、知らず知らずのうちに肥満になってしまいます。

痛風の場合はとくに食の好みに大きく左右されることがわかっていて、肉や魚卵・それからビールの好きな人に多く発症します。
一方で、いくら太っていても全く尿酸値の高くない人もいます。
ここが、糖尿病や脂質代謝異常(高コレステロール血症)と少し違う点です。

好きなものを食べていても全く尿酸が問題にならない人もいれば、食べたいものをこらえても尿酸値の高い人もいます。
食の好みは、理屈で変えられるものではありません。
私もスイーツが大好きなので、スイーツ断ちしろと言われたら苦痛です(無理!!

好きな食べ物を全て絶つ必要はありません。
バランスです。
トータルで食生活を見直し、適度に運動をして肥満も解消しなくては尿酸値を正常にすることはできません。
このように、生活全体をセルフコントロールすることが必要なのです。



風が吹いただけでも痛いのが、痛風発作

痛風は、その名のとおり発作を起こすとものすごい痛みを感じます。
ほんのちょっと触れただけでも飛び上がってしまうくらいの痛みから、痛風という名がついています。

血液中の尿酸値が高いからといって、すぐに症状が出るとは限りません。
最初は無症状でも、放っておくことで痛風発作を起こすようになり、進行すると発作の頻度が増え、次第に関節を破壊していくのです。

ちなみに、高尿酸血症で引き起されるのは痛風発作だけではありません。
尿路結石の一部も高尿酸血症によるもので、尿路結石は腎臓の機能を低下させる原因となります。

<痛風の経過>

  1. 無症候性高尿酸血症
  2. 血液中の尿酸値は高いが、自覚症状はない

  3. 痛風発作
  4. 突然足の親指に激痛・発赤・腫れが生じ、歩けなくなる

  5. 間欠期
  6. 1週間ほどで発作がおさまり、また無症候性となる

  7. 慢性期
  8. 足の指・手の指・耳介などに痛風結節ができる
    痛風結節が骨組織に生じ、間接破壊をきたす
    腎機能障害をきたす

糖尿病も高血圧も同じですが、生活習慣病の怖いところは普段通りの生活を送っているだけで病気になり、そのことを本人が自覚しないことです。
自覚症状が出るのは病気が進行したり、痛風なら発作を起こしたとき。
痛風の場合は発作の時期だけ乗り切るとまた無症状になるので、通院して内服治療を受けたり、食生活を直そうとはしなくなってしまうのが難点です。

おなかのお肉は、無駄遣いの結果!?

痛風は、おいしいものを食べている人が発症します。
普通の肥満とは違い、肉や魚卵・ビールなど、嗜好性の高いものを多く摂ることで尿酸値が上がります。

ここで目をそらさず、あなたのお腹周りを見てみてください。
おなかの周りについたお肉は、必要以上に食べものへお金をかけた結果です。
食べ物への無駄遣いのせいで病気になって通院が必要になったり、急な痛風発作で救急外来に飛び込んだりすれば、更に余分な医療費がかかります。

健康診断で高尿酸血症を指摘されたり既に痛風で通院している場合には、生命保険の保険料も高くなります。
ライフネット生命のQ&A、高尿酸血症・痛風のため定期的に通院していますが、加入できますか?では以下のように答えています。

『高尿酸血症・痛風だからという理由で、それに該当される方すべてが加入できないわけではありません。
高尿酸血症・痛風の場合でも、申し込み時にお客さまにお答えいただく健康状態についての告知情報をもとに、ご加入いただけるかどうかの審査を行いますので、まずは、お申し込みください。』

ダメとははっきり言っていませんが、引き受け拒否の場合もあるということですね。
まずはお申込みくださいというのは、審査で落ちた場合には緩和型商品を勧めるというつもりでしょうか。

高尿酸血症であっても、上に挙げた<痛風の経過>のどの段階にいるかによっても、病状は違います。
まだ①の初期段階であれば、食事や飲酒の習慣を正すことで内服治療は不要かもしれません。

ただし、全ての生活習慣病において言えることですが、積極的治療をせずに経過観察で済むようになったとしても、痛風が完治することはありません。
いつまた発症してもおかしくないので、生命保険会社からするとやはりリスクの高い契約者であることは間違いありません

高尿酸血症を引き起こすに至った飲食費は、総額でいくらにのぼるでしょうか?
毎日の薬代に通院費とその手間は、どのくらいのお金になるでしょうか?
そして、高尿酸血症のせいで引き受け基準緩和型保険商品しか加入できなかった場合の保険料は、同じ保障レベルの他の商品よりどのくらい高いでしょうか?

生命保険は毎月口座から引き落としで支払っている人が多いと思います。
引き落としは、未払いを防ぐと同時に払っている感覚を失います。
しかし、毎月確実に数千円から高ければ万単位のお金を余分に支払うことになるのです。

お金をかけて付けた脂肪、その結果高額な生命保険。
これほど無駄なものはありませんね。
普段の買い物をケチるより、生活習慣病を予防して通常の生命保険に加入する方が、よほど節約効果はありますね。

たかが痛風でも、収入が絶たれることもある

痛風発作を起こすと、指一本触るだけで飛び上がる位に痛みます。
歩くのもびっこを引いて歩きますし、靴も履けません。
そうなると困るのが、仕事です。

サンダルでもよくて、かつ座っていられる仕事でなければできません。
発作で足が腫れているときにはだらんと下げておくのは望ましくないので、本当は床に投げ出して少し挙上し、安静を保つ必要があります。

あなたの仕事は、痛風発作を起こしたときにいつも通りの仕事ができる職種でしょうか?
私の場合は歩き回らなければなりませんし、患者さんを抱きかかえたり支えたりするので、とてもそんな具合では仕事になりません。

痛風が食べた分の贅沢品と割高な毎月の生命保険料の分無駄遣いとなることは、お伝えしてきました。
しかし、それだけではありません。
痛風発作を頻繁に起こすようになると、収入が絶たれてしまいかねないのです。

危険な作業を行う建設現場や運転手などの場合、ちょっとした体調不良が大事故につながる可能性もあります。
かといって、痛風発作のたびに全て有給で対処できるでしょうか?
セルフコントロールできずに痛風発作を起こして休んでばかりいる人が、職場での信用を得られるでしょうか?

そう考えると、痛風発作によって失うお金は、

  • 飲食費(アルコール含む)
  • 治療費
  • 通院にかかる時間(時は金なりです!)
  • 生命保険料
  • 仕事で得られるはずの収入

となるのです。

それに、痛風発作も尿路結石も猛烈な痛みを伴います。
ちょっとした食生活の好みだけでそんな痛みを味わわなければならないなんて、嫌ですよね。

何より、一度失った健康はそっくり元通りになって返ってくることはありません。
たかが食べ物の好みと思わず、大事になる前に見直しましょう。