タバコの煙は、60種類もの発がん物質を含んでいる!!
喫煙が身体に悪いことは、誰しもわかっていることです。
しかしそれが辞められないのは、それだけ依存性が高いから。
喫煙と聞くと真っ先に思い浮かぶのは、肺癌ではないでしょうか。
確かに、喫煙者もしくは受動喫煙者の肺癌のリスクは、非喫煙者よりも高くなります。
しかし、喫煙による発がんリスクは肺だけにはとどまりません。
煙の通り道である口腔や鼻腔、食道だけではなく、全く関係のなさそうな膀胱にまでその発がん性は立証されているのです。
泌尿器科の外来で診察についていると、健康診断で尿潜血が陽性になったと受診される方が大勢います。
血尿の理由はいろいろあるのですが、医師が「タバコを吸いますか?」と尋ねると、皆さんきょとんとなります。
呼吸器科ならともかく、泌尿器科で喫煙の質問をされるとは思っていないからでしょう。
まだ認知度が低いとは思うのですが、喫煙による発がん性は全身に影響します。
だからこそ、保険診療で禁煙治療を認めているのです。
では、実際のところ喫煙にはどのくらいの発がん性があり、どこに影響を及ぼすのでしょうか?
厚生労働省の運営する、生活習慣病予防のための健康情報サイト、喫煙とがんのページで詳しく説明されています。
<喫煙との関連が明らかながん>
・口腔 ・鼻咽頭 ・副鼻腔
・喉頭 ・肺 ・食道
・胃 ・膵臓 ・大腸
・肝臓 ・腎臓 ・尿管
・膀胱 ・子宮頚部 ・卵巣
・骨髄性白血病
タバコの煙には60種類以上の発がん物質が含まれています。
煙の通り道(くち・のど・肺)はもちろん、唾液などに溶けて通る消化管(食道・胃)、血液中に移行して排出される経路(血液・肝臓・腎臓などの尿路)でもリスクが高くなることに注意が必要です。
(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト喫煙とがんより抜粋)
中でも目を引いたのは、タバコに含まれる発がん物質の数が60種類以上もあるということ。
医療従事者の私も、知りませんでした。
これらの発がん性物質は、煙の通り道だけではなく、唾液や血液中に溶け込んでしまうのです。
血液は全身をめぐります。
だからこそ、直接関連のなさそうな膀胱や大腸・卵巣といった臓器まで喫煙による発がん性が証明されているのです。
喫煙が身体に及ぼす影響は?
発がん性だけではなく、喫煙による病気のリスクは他にもあります。
喫煙は、血管がキュッと締める作用があります。
血管が締まると血圧が上がります。
高血圧は、脳出血を始めとしたさまざまな病気の引き金となります。
また、血液が流れにくくもなりますから、血液が不足することで起こる狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患のリスクも高くなります。
血圧については<「血圧が高い 」と生命保険加入は当然厳しくなる>を、心筋梗塞と狭心症については<「コレステロールが高い 」とやっぱり生命保険には大きく影響する>・<「狭心症」によるリスクは生命保険に影響します>を合わせて読んで頂けると、理解が深まると思います。
ところで、喫煙者はコーヒーを好む人が多いと思いませんか?
缶コーヒー片手に喫煙所で煙をくゆらす・・・そんな姿をよく見かけると思います。
これ、かなり危険度が高い生活習慣なのです。
心筋梗塞と狭心症のところでも出てきますが、喫煙の上に、砂糖たっぷりの缶コーヒーを習慣にすることで糖尿病にかかったら、血管の内腔は狭いしボロボロという最悪の状態になります。
糖尿病の場合、血糖だけが高くてコレステロールは正常という方はなかなかいません。
すると、喫煙+糖尿病+コレステロール高値(脂質代謝異常)というトリプルパンチの状態になりますね。
全身にくまなく血液を供給することが非喫煙者より難しくなるのは当然で、喫煙が血管におよぼす影響がどのくらい大きいか想像に足るところでしょう。
喫煙とお金、そして保険の関係は?
コンビニでタバコを2箱と缶コーヒーを買うと、それだけで1000円近い出費になります。
その出費、一か月でいくらになるでしょうか?
2日に1回このような買い物をしたとすると、月に15回で15000円になります。
「タバコを買うついでに缶コーヒー」という行動を辞めるだけで、これだけの節約効果があるのです。
いいえ、それだけではありません。
お伝えしてきたように、喫煙には癌のリスクもありますし、血管が詰まる病気を起こすリスクもあります。
これらによって働けなくなったり寝たきりになることがありますし、最悪の場合亡くなってしまうこともあります。
更に喫煙という生活習慣をしていることで血圧が高くなってしまったり、既に何らかの病気を抱えてしまった場合、生命保険の新規加入はハードルが高くなります。
喫煙はたくさんの病気につながるものですし、生活習慣というのはそれだけ身体にしみついてしまったもので、簡単に辞められるものではないからです。
ですから、新規加入時の告知書に「喫煙習慣あり」と書いただけで、これからの起こるだろう病気の分まであなたのリスクに組み込まれてしまうのです。
つまり、安くて条件のよい(保障が手厚い)ものには加入できなくなる可能性が高くなるのです。
病気や喫煙習慣があっても、加入できる生命保険はあります。
ただし、引き受け基準緩和型の商品は保険料がその分高くなり、一定期間は満額の保険金が支払われないなどの条件がつくこともあります。
喫煙という習慣があることによって毎月の保険料が数千円高くなり、受け取れる金額が何百万も減額されてしまうこともあるのです。
では、喫煙にかかる費用には、何があるのでしょうか?
<喫煙にかかるコストって、何だろう?>
- たばこ代
- たばこと一緒に買う“ついで買い”費用
- 病気による収入低下、生産性低下
- 病気による通院、治療費の増大
- 寝たきりによる介護費用
- 保険料の割増
いかがでしょう?
喫煙習慣を絶ち切ることは、毎月のたばこ代の節約というレベルではないのです。
下手な食費の節約よりも、喫煙を辞めることの方がよっぽど節約効果が高くて確実です。
世の中には、自分でどうすることもできない難病で苦しんでいる人が大勢いるのに、喫煙者はたばこを吸うことで、自ら病気にかかろうとしているのです。
喫煙習慣のない私には、なぜこれだけのお金を払ってまで健康に害を及ぼすものを、自分から身体に取り入れようとしているのか理解できません。
あなたがもし今まで喫煙していたのなら、既に傷んでしまった血管を元に戻すことはできません。
しかし、これからを変えることはできます。
既にお伝えしたように、医療費の増大や寝たきり患者の増加の対策として禁煙が有効だと、国もわかったようです。
2006年から、禁煙治療が保険診療(多くは3割負担)で受けられるようになりました。
(条件を満たした医療機関であることと、一度挫折した場合は1年間は保険診療での禁煙治療が受けられない制約があります。)
病院での禁煙治療は、ただ精神論で我慢を強要するのではなく、たばこがおいしいと感じられなくなる薬を使うことでニコチンによる依存から脱却する治療です。
既にご紹介した生活習慣病予防のための健康情報サイト内、禁煙治療ってどんなもの?のページで紹介しています。
喫煙がどれほど健康被害が大きくて(あなただけではなく、家族まで!)どれほどお金のかかるものなのか、おわかりいただけたでしょうか?
そして、アルコールと違って喫煙には、いいところは何一つとしてありません。
喫煙期間が長ければ長いほど、1日の本数が多ければ多いほど、禁煙には苦痛が伴います。
1人で頑張ろうとせずに、上手に医療機関を使いながら喫煙してくださいね。
また、新たに生命保険の加入を検討しているのなら、しっかり禁煙して血圧もコントロールしてからの方がよいかもしれませんね。