生命保険がわかりにくいのは、ナゼ?
生命保険のことを考えるとき、面倒だなと思うのが世間一般の感情だと思います。
家計改善のために、無駄な保険を減らした方がいいよな・・・と思いつつも、結局よくわからないからそのまま。
下手に解約して、もしものときの保障がなかったら困るからと、結局知り合いに勧められて入った保険のまま。
私自身、生命保険に関心を持つようになったのは、ファイナンシャルプランナーの勉強を始めたときです。
子供が産まれてからこども保険に加入したりと、世間一般で言われるセオリー通りに、また保険屋さんのおススメ通りに加入していました。
なぜ、こんなに生命保険について考えるのは億劫なのでしょうか?
それは、煩雑でわかりにくいから。
商品のラインナップが増え、何をどう選んだらよいかわからないから。
各保険会社さんも生き残りに必死ですからね、あれやこれやといろんな保険商品を世に登場させるのは、仕方のないことなのでしょう。
では、生命保険にはどのような種類があるのでしょうか?
まずここから考えてみましょう。
<生命保険は種類がたくさん!!>
- 死亡保険(定期保険・養老保険・終身保険)
- 就業不能保険(短期・長期)
- 医療保険(定期・終身、がん保険、特定疾病保障保険)
- 個人年金保険
- 介護保険
- こども保険
- 変額保険
大きく分けてもこれだけあります。
それぞれに、各社の商品があり、保障内容も保険料も違います。
今あなたは、これらの保険1つ1つの特徴や、何に対して保障するものかを説明することができるでしょうか?
「・・・。」
という方のために、生命保険の枠組みと、あなたに起こる不足の事態のうち、何に備えて保険に加入すればよいのか、保険の世界へご案内しましょう。
それぞれの保険商品は、何に対して保障するものなのか?
では、上に挙げた各保険商品は、どんな「もしも」に対応してくれるのでしょうか?
大雑把に説明するとしたら、こんな感じになります。
- 死亡保険(定期保険・養老保険・終身保険)
- 就業不能保険(短期・長期)
- 医療保険(定期・終身、がん保険、特定疾病保障保険)
- 個人年金保険
- 介護保険
- こども保険
- 変額保険
⇒死亡したときに大きな金額をまとめてもらうもの
⇒病気や怪我で働けず、給料が減ってしまった間の生活費を補てんするもの
⇒主に入院や手術をすると、まとめていくら・日額いくらともらうもの
⇒公的年金だけでは足りない生活費を補てんするもの
⇒介護が必要になったとき、介護サービスの提供や施設入居費用を補てんするもの
⇒こどもの(主に)大学進学時にかかる高額な教育費を目的に貯めるもの
⇒死亡時にまとまった金額をうけとるもの
ただし、保険料(もしくは受け取る金額)が一定ではない
かなり大雑把ではありますが、保険商品はそれぞれ何を(どんな事態を)想定してかけるか、ということになります。
こどものいない夫婦には、こども保険は不要ですし、DINKS(夫婦共働き、子供なし)なら、就業不能保険も、場合によっては自分の収入だけで生きていくことができれば、死亡保険すら不要でしょう。
次は、もう少し細かく、生命保険が必要になる「もしも」のときについて考えていきましょう。
人生における“危機”って何?
生命保険って何かと問われたら、一言で答えるのなら「もしものために備えるもの」ですね。
それも、お金として備えるものが殆どで、現物支給というのは介護保険など限られたものです。
では、「もしものときに困るお金」って、具体的には何に対するお金でしょうか?
これは、全員一緒ではありません。
人それぞれ、家族構成や子供の年齢、現金の貯蓄額、所有資産(不動産や会社など)も違いますし、お金やもの・教育に対する価値観も違います。
ですから、本来生命保険というのは個人個人、オーダーメイドで加入するものなんですね。
かつての私のように「子供が産まれたら、子供保険に入るのが親の愛情」というのは間違いなのですよ・・・。
ではもしもの時に困るお金、具体的にはどんなものが考えられるのか、例を挙げてみましょう。
<もしもの時に困るお金って、何?>
- 【1】医療費(保険診療分、差額ベッド代などを含む自費診療分)
- 【2】子供の教育費(学費、受験費用、入学金、1人暮らしの場合の仕送り、その他教材費)
- 【3】生活費(衣食住に必要な、主な生活費)
- 【4】葬儀費用
- 【5】墓の購入費用
- 【6】介護費用(デイサービス、ショートステイサービス、グループホームや施設の入居費用)
- 【7】(老後費用)
「もしも」というのを、病気や怪我で働けない時とするのか、それとも一家の大黒柱が亡くなってしまったときとするのかにもよりますが、おおむねこのようなものでしょう。
ちなみに、は自分に介護が必要になった時だけではなく、両親に介護が必要になったときのことも考えなくてはいけませんね。
(【7】の老後費用については、「もしも」というよりも「いずれ」必要になるものなので、今回は省略します。)
では、夫婦と子供2人という現代に多い家族構成(ここではAさん一家とします)を例に考えてみましょう。
Aさん一家のプロフィール
家族構成:Aさん(30代)、妻(30代)、子供2人(2人とも未就学児)
自宅:一戸建て住宅を購入、35年ローンの返済中
収入:Aさんの給与のみ、妻は(子供が小さいので)専業主婦
このAさん一家は、どんなもしもに備えるのがよいのでしょうか?
もしAさんが長期入院をし、その後亡くなってしまったということで想定してみましょう。
上に挙げた【1】から【4】、先祖からの墓を継いでいないのなら、【1】から【5】までがAさんの闘病中から死亡後にかかる、「もしもの時に困るお金」となります。
もちろん、公的なセーフティーネットがありますので、高額療養費制度や遺族年金などが支給されますが、今までの生活を維持しようと思ったら、恐らくこれだけでは難しいでしょう。
結婚式はご祝儀でトントンになると言われますが、葬儀は持ち出しになることが大半。
ましてや墓の購入もお世話になるお寺もこれから決める・・・となると、100万単位のお金が動くかもしれません。
しかも、葬儀や納骨というのは待ってくれませんからお金が貯まってからとはいかないのです。
教育費に関しては、ある意味「相場」感の難しいものがありますので、【4】や【5】のような一般的な金額がわかりません。
子供がどの道を選ぶかで、教育資金は全く変わってしまうからです。
どの学部に入るのか、どのスポーツが向いているか、どんな職業につくか、最終学歴は何か、大学進学なら自宅から通学するのか・・・。
授業料や受験料は私立・公立だけでなく、学部によっても大きな違いがあります。
お金のかかる大学といえば、医師を思いつくかもしれませんが、実は薬剤師だって6年制です。
高校を卒業してすぐに働けば教育費は18歳で終わりますが、子供が薬剤師になりたいと言えば、そのあと6年間、それも今までのトータルの教育費を超える金額が、高校卒業後の6年間に集中します。
もっといえば、大学受験に失敗して浪人してしまったら?
通学圏内に大学がなくて、1人暮らしをするとしたら?
単位取得ができず、留年してしまったら?
国家試験に合格しなかったら?
高校卒業後、6年で済むとは限らないのです。
このように、子供1人に対しても教育費の選択の幅は広く、どこまで備えておけばバッチリ!!と言える基準はありません。
Aさん家族では子供は2人ですし、年齢が近い場合は、将来大学生を同時に二人抱えるということにもなりかねません。
上の子にはやりたいことをさせて、下の子にはお金がなくなったから我慢させる・・・というのは、親としては言えませんよね。
住居費に関しては、Aさんは自宅を購入していますので、住宅ローンはAさん死亡時に団体信用保険で相殺され、家は自分のものになりローンは完済したことになります。
住宅ローンを払わなくて済むし、賃貸の家賃も払わなくて、衣食住のうち「住」に関しては、ほとんどお金がかからない計算になります。
しかし現実は、Aさんという大黒柱を亡くしても大きな家に住んでしまったら、光熱費や家の維持・管理に生活コストがかかります。(もし分譲マンションだったら、管理費・駐車場代はずっとついてまわる支出です)
これらを踏まえて、Aさん一家にかかるそれぞれの心配ごとをフォローしてくれる保険商品は、冒頭に挙げた生命保険の種類の中で何になるのでしょうか?
医療費そのものに関する心配
⇒医療保険(定期・終身、がん保険、特定疾病保障保険)
こどもの学費に関する心配
⇒死亡保険(定期保険・養老保険・終身保険)、こども保険、変額保険
生活費に関する心配
⇒就業不能保険(短期・長期)、死亡保険(定期保険・養老保険・終身保険)
葬儀・墓に関する心配
⇒死亡保険(定期保険・養老保険・終身保険)
こういったところでしょうか。
実際は、どの保険によって支払われようともお金はお金なので、就業不能保険で入った
お金を教育費やそのまま死亡時の葬儀費用にまわしたりといった使い方もありますの
で、この限りではありません。
それに、こども保険だけでは大学生活の間の教育費を賄うことも難しいでしょう。
なーんだ、分類してみればこれだけなのか♪
と思ってくれればいいのですが、余計にワケがわからなくなったぞ・・・となってしまったかもしれませんね。
そう、保険って、簡単なようですごーく深いんですよ。
でも、一番必要なのは、保険商品それぞれに対する知識ではなくて、実はあなた自身が自分のライフプランをどう立てるか。
もし生活に困窮したら、どこまで生活にかかる費用を落とせるか。
これが重要なんですね。
公的なセーフティーネットでは足りないものを補うのが生命保険ですから、遺族年金と妻が働いて稼ぐお金だけで済むのなら、「もしも」のためにたくさんの保険商品に加入する必要はありません。
保険料を払わずに済む分、貯蓄を増やせばいいのです。
現金は何に対しても使えるのですから。
保険を考えるときには、ライフプラン・価値観とセットで考える。
これが基本です(*^-^*)