死亡保険(定期・養老・終身)とは?必要なの?をシンプルに解説!


死亡保険って、結局どんな保険?

数ある保険の中で、死亡保険は一番基本となる保険です。
一般に「生命保険」と言った場合にはこの死亡保険を意味することも多いですね。まずは死亡保険が必要かどうかの前に、もう一度死亡保険の基本についておさらいしてみましょう。

こちら(生命保険のはじめに~生命保険の必要性と種類~)でも触れましたが、死亡保険とは一言で示すと、「死亡したときに大きな金額をまとめてもらうもの」と覚えてもらえればよいでしょう。(高度障害については無視して話を進めます)
お金を受け取る時が死亡したときかどうかはまた別の話になるのですが、目的としては世帯主(つまり大黒柱であるお父さん)が死亡したときに、遺された家族のためにかけておくものです。

この死亡保険にはどんなものがあるのでしょうか?
大きく分けると、
【1】定期死亡保険
【2】養老保険
【3】終身死亡保険(終身保険)
の3つになります。

中でも、定期死亡保険に関しては更に細分化され、
A.逓減定期保険
B.逓増定期保険
と分かれます。

この「逓減」「逓増」という言葉は聞きなれないかもしれませんが、「段々減る」「段々増える」と言い換えればよいだけです。
こういう難しい言葉を使うのも、生命保険をわかりにくくしている要因とも言えますね。

では、死亡保険に入るかどうかを検討する前に、これら各保険について説明していきましょう。
既に述べた通り、死亡保険は基本的に大黒柱となる世帯主が死亡したとき、遺族の今後の生活費・子どもの教育費のために入るのが本来の目的です。
本来の保険の役割だけを考えれば、入るべき保険は【1】か【3】になります。
なぜでしょうか?

<同じ死亡保険、何が違う?>

【1】定期死亡保険⇒必要な期間・必要な額だけの保障をかけて、死亡時に遺族が死亡保険金を受け取るもの。
【2】養老保険⇒死亡した時には遺族が死亡保険金を受け取り、一定年齢まで生存していたら、(○○)が生存保険金を受け取れるもの。
【3】終身保険⇒保障は生涯一定、死亡時に遺族が死亡保険金を受け取るもの。

【1】と【3】は似ていますね。
そう、どちらも基本的に死亡したときに遺族が死亡保険金を受け取ります。
違いは、保障期間と受け取る保険金の額です。

【3】は昔からある一番古典的なもので、一度かけたら死ぬまで同じ保障をしますよというもの。
受け取る金額は今も10年後も30年後も同じです。
これに対し【1】は、今よりも将来の保険金の額を増やす・もしくは減らすことで、常に同じ金額を保障しない代わりに保険料を安くしますよ、というものです。

この定期保険については逓減と逓増がありますので、少しお伝えしておきましょう。
遺された家族へ残すべきお金の中で大きな問題となるのが、子どもの教育費です。
単純に子どもが何人いるかにもよりますが、現代の少子高齢社会で注意すべきは、末子(一番下の子)の年齢です。

末子が幼稚園の家庭と、末子が既に大学生という家庭では、将来かかる教育費は大きく違いますね。
大学に進学している時点で、ほぼ残りの教育費もわかります。
(教育費は高校・大学だけでも大きく変わりますからね。)

もし子どもが2人いるということは、このわからない要素が2倍ということになります。
こちら(将来への漠然とした不安はどこまで想定すべき?)でも取り上げた例になるのですが、高齢出産家庭・年の差夫婦・子どもの自立度が低いなど、それぞれの家庭における弱みを基準に、もしもの備えについても考える必要があります

年の差夫婦の場合はお父さんの年齢が既に高いので、最初から保障は高くしておきたいと思うかもしれません。
逆に若いうちに子育てを終えてしまう家庭では、50歳以降はそんなに高い保障はいらないよ、となるかもしれません。

年を経るごとに教育費の不安が減りますから、保険金も安くしても大丈夫。
その分毎月の掛け金を安くするこというのが、Bの逓増定期保険となるわけです。

逆に次第に保険金を増やしてね、というのは一般家庭では考えにくいですね。
これは主に、法人を対象としている保険だからです。

さて、話を戻しましょう。
上の死亡保険3つの中で、【2】が仲間はずれになるのはなぜでしょう?
これは、本来の生命保険の意味合いとは少し離れてきます。

養老保険とは、死亡時の死亡保険金、それと別に一定年齢まで生存していたら「ご褒美」として生存保険を受け取れるという貯蓄目的を含む保険です。
例えばこちら(「初めての妊娠・出産と保険」~実際の生命保険関連の事例01~)でお伝えしましたけれど、私も実は独身時代に加入していました。

このときの養老保険では、ご褒美は5年ごとでしたので、私は解約するまでの間に2回、10万円ずつ受け取りました。
受け取るといっても、そのお金はプールしておくことも可能ですし、生存保険分だけ出金して使うことも可能。
そのため、万一のときの保障を受けながらもご褒美を受け取れる、お金を貯められるとして販売されています。

養老保険に入っていると、もしものときには自分の葬儀代・家族の生活費・子どもの教育費を遺せるし、(元気かどうかはともかくとして)生存していたら生存保険金を自分が生きている間に受け取れるのです。
そう、この「生きている間」というのがミソです。
【1】と【3】は、家族のための生命保険なので、基本的には自分が元気な間には受け取れません。
ところが、【2】は自分が生きていても、受け取れる。
ここが大きな違いですね。

さあ、ここでお気づきでしょうか?
【2】の「(○○)が生存保険を受け取れる」としてあったことを。
そう、本来は保険の対象である(正しくは被保険者といいます)お父さんも受け取ることができるのです。

生命保険の基本に立ち戻って考えてみますと、遺された家族のために入るのが生命保険ですから、本来②の養老保険は入る必要がないのです。
自分が生きている間のお金については、日々積み立てておくべきであり、保険で積み立てようと考えるのは本来の目的から外れてしまいますからね。

本来必要ないのになぜ養老保険というものがなぜ存在するのかと聞かれたら困るのですが、普通のご家庭が加入を検討するのなら、終身保険の中で選ぶべきは【1】か【3】となる、と言えるわけです。
本来の目的だけを考えれば、ですけれど。

保険金を受け取るのは、死亡時だけとは限らない!?

お伝えしてきたように、遺された家族のためのお金のことを考えたら、入るべき保険は【1】定期死亡保険か【3】終身保険で十分です
わざわざ保険料の高い養老保険に加入する必要はありません。

シンプルに考えればたったそれだけのことなのですが、生命保険を複雑にしているのは、「保険金を受け取るときは死亡時だけとは限らない」からです。

よく聞く掛け捨て保険というのは、死亡時には保障されますが、途中で解約した時には、今まで払ったお金は戻って来ません。
だから毎月の保険料を安くしているのです。

しかし、掛け捨てではなくて解約したときには今まで払い込んだ保険料のうち一部は払い戻しますよ、というものがあります。
それが、解約返戻金です。

解約返戻金のあるタイプは、もし生命保険を変更したいという時には戻ってくるお金があるのはよいのですが、その代りに毎月の保険料が掛け捨てタイプよりも高くなります。

もし途中で乗り換えることを考えた上で生命保険に入るのなら、養老保険もアリになってくるのです。
だって、もともと生きている間に解約するつもりなのですから、少しでもプラスαが欲しいですよね。
生存保険金を受け取らずに残しておき、解約返戻金と併せて受け取れば、それだけお得、というわけです。

また、その生存保険金を「自分の○○歳のお祝い」として、旅行資金に充てることもできます。
生存保険金は解約することなく下ろすことができますから、保障も受けられるのに「〇年後の自分へのお祝い」までもらえるならお得、という考えかたもできるのです。

途中解約の時期を、子どもが独立するまで、もしくは十分な貯蓄ができるまでと思っている人もいるでしょう。
今勤めている会社を定年退職し、退職金という大きなお金を手にしたら、葬儀のお金くらいなんとかなるという人もいます。
定年を迎える頃になれば、子どもは既に独立していて遺されるのは妻だけ。
年金に少し余裕資金があればよいと、そこで解約するのも手です。

つまり、全ては何に価値をおくかという考え方であり、「間違い」ではないのですね。
途中解約を考えているのなら、最初から子どもの年齢を考えた定期漸減保険にしたっていいし、終身保険を適当な時期に解約したっていい。
自分に貯蓄する力がないと思うのなら、生命保険会社にかなりの手数料を払うことを理解した上で、養老保険で生存保険金を受け取ってもよいのです。

また、掛け捨てタイプを選ぶかどうかについても、

  • 今払う金額が高くなっても解約時にいくらか戻ってきた方がよい
  • 徹底的に毎月の無駄な出費は削りたい

という考え方によっても選択肢はかわりますね。

ただ、この場合解約返戻金=払込額ではない、ということを頭の隅に置いておく必要があります。
払い戻される金額は、最初の数年はほとんどありませんから、払い込んだ金額の多くが保険会社の運営に関する費用にまわされているということになるのです。

ちなみに、私自身はこちら(生命保険が「人生で2番目に高い買い物」になるかどうかはあなた次第!?)でお伝えしたとおり、解約返戻金を受け取るつもりで死亡保険に入っています。
おまけに、貯蓄(利殖)目的も含めた外貨建ての死亡保険も入っています。

私の場合は自分の持病やシングルペアレントであることや、基本的には家を継ぐことはないだろうと思っていることなどがあって、教育費と老後のことを考えた末に選びました。
これが正しいか、お得かどうかは、わかりません。

少しややこしくなってしまったでしょうか?
生命保険というのは、お金の価値観やライフプラン・家族構成、退職金の有無、病気の有無などあらゆる要素を含んでいますので、一概に「これに入るべき!!」とは言えません。

でも、まずはこれを抑えてください。
「死亡保険は、あくまでも一家の大黒柱が亡くなったときのためのもの」
これを基本とし、解約返戻金や生存保険金などの活用については、応用編くらいに思っておくとよいでしょう。

いきなり何に加入するべきか?で始めるのではなく、少しずつ生命保険とはどんなものか、というところから勉強していくといいですね(*^-^*)