「狭心症」によるリスクはもちろん、生命保険・医療保険に影響します

狭心症と生命保険

その息切れ、運動不足ではなくて、狭心症です!

仕事をしている現役世代は、仕事に子育てにと大忙し。
意識して時間を確保しなければ、運動をする時間はなかなかとれません。

また、私の住んでいるような田舎は、駅までのバスが1時間に1本で、バス停までも10分かかるという具合。
ですから、車は1人に一台必要です。
そうなると、田舎の人の方が都会の人よりも歩く機会が少なくなってしまうのです。
周りを緑に囲まれているような地域なのに。

そして人間は、必ず年を経るごとに基礎代謝が下がります。
何もしていなくても消費してくれるカロリーが少なくなる上に、動く機会も少ないとなると、生活習慣病へまっしぐら。
暴飲暴食をしている人でなくても、普通の生活をしているだけで、おなかに浮き輪をつけたようなメタボになっていってしまうのです。

わかっているけれど、仕事でヘトヘトになっているのに苦手な運動をするのは、大変なことです。
運動が苦手で、年を経るごとに太ってしまった人達は、少しの労作が身体にこたえます。
ですから、階段を上がるときに息が上がるのも、「年のせい」「運動不足」と思っています。

しかし、その息切れ、ただの運動不足とは限りません。
ものすごく怖い病気かもしれないのです。

身体に負担がかかると、ハアハアと息が上がるのは、誰しも同じ。
けれども、その時「苦しい」場合は、ただの運動不足で片づけられないかもしれません。
それは胸痛で、狭心症の症状かもしれないのです。

狭心症と、心筋梗塞の関係

狭心症も心筋梗塞も、心臓の病気であることは大勢の方に認知されています。
しかし、その違いについてはどこまでご存知でしょうか?

狭心症も心筋梗塞も、心臓の血管の「血流」に関する病気です。
ドロドロになった血液で次第に血管が詰まってしまったり、何かしら(塞栓)によって血管が詰まってしまう状態。

詰まった先には血液が流れなくなるので、心筋は死んで(壊死)しまいます。
その範囲が広ければ広いほど命に直結する、というわけです。

では、二つの違いはなんでしょう?
狭心症⇒一時的に詰まった⇒また血流が回復する
心筋梗塞⇒完全に詰まった⇒詰まった先は血流が遮断され、心筋が壊死する

つまり、狭心症は心筋梗塞の前段階なんですね。
そして、先ほど問いかけた「運動不足」と思っている症状が、実は狭心症の症状である「胸痛」かもしれないのです。

胸痛の出た段階で狭心症の治療をしておけば、心筋梗塞への進行をある程度防ぐことができるということです。
しかし、その症状に気づかないで運動不足や加齢によるものだと放置してしまうと、ある日突然、心筋梗塞を発症してしまうこともあるのです。

一度血流不足によって完全に死んでしまった心筋は、元には戻りません。
少しでも流れのあるうちならば、血管を広げたり、ステントと呼ばれるストローのような通り道を挿れることで、心筋を回復させることが可能です。
しかし、心筋梗塞はいくら救急車で病院に搬送しても、病院到着前に亡くなってしまうケースが非常に多いのです。



知らないことほど怖いものはない

明らかに胸痛発作が出ているのに、病気と思っていない。
糖尿病予備軍と指摘されたまま検査も治療も受けていないので、まだ自分は糖尿病だと思っていない。

こういう人が、とても危険です。
なぜなら、<「水虫」がもたらす影響と生命保険>で紹介したケースのように、糖尿病の患者さんは、その合併症である神経障害のせいで、痛みがわかりにくくなるのです。

本来なら、苦しくて苦しくて冷や汗をかいてしまうくらいの胸痛でも、糖尿病の患者さんが狭心症や心筋梗塞を起こしても、痛みを感じにくくなっているため、「運動不足」「加齢」のせいにして見逃してしまうことがあるのです。

「糖尿病予備軍」と一度でも言われた人は、生活習慣病になるような生活スタイルを送っているということです。
それなのに、そこから検査や治療を受けず、生活の改善も心がけていなかったら、どうなるでしょうか?
数か月で予備軍は、立派な糖尿病になっていることでしょう。

生活習慣病のせいで糖尿病になるし、糖尿病のせいで狭心症を発見できない。
そして、「病気に気づいた時=心筋梗塞発症時=死亡」というケースも、悲しいけれど多いのです。

自分が糖尿病だとわかっていたら、狭心症のリスクにも気づきます。
この「苦しい」が、実は狭心症の症状かもしれないと思うでしょう。
しかし、自分のことを知らなければ、死が目前にあっても、「運動不足」で片付いてしまいます。

そして、そのような人が運動不足を解消することは、まずないのです。
怖さを自覚していないのに、わざわざ嫌いな運動をしようとは思いません。
食べることの好きな人が、努力なしに食欲に打ち勝つことはできません。

自分の健康状態を知らない。
これほど怖いものはないのです。

病気がないのと、病気であることを知らないのとでは、大違い

糖尿病については<「糖尿病」にかかると生命保険に入るのは非常に難しくなる>で詳しくお伝えしていますが、糖尿病の三大合併症でもある1.糖尿病性網膜症、2.糖尿病性神経障害、3.糖尿病性腎症の症状を自覚するようになったときには、かなり進行しています。

ですから、糖尿病を早期に発見するには、採血しかありません。
健康診断で必ずといってよいほど血糖値とHbA1cが項目に含まれているのは、それだけ糖尿病の患者数が多く、また治癒しない病気だから。

逆に言うと、健康診断を受けていない人にありがちなのが、「既往歴なし⇒病気であることを知らない」状態。
病気がないのと、病気であることを知らないのとでは、大違いです。

生命保険会社は、加入時の健康状態のチェックに余念がありません。
自覚症状の欠ける病気では、本人の訴えはあてになりません。
健康診断歴・受診歴なしという人は、要注意です。

糖尿病と狭心症
糖尿病と脳梗塞
狭心症と心筋梗塞

どれも、切っても切れない関係です。
家族性の遺伝として、若い時から脂質代謝異常(高コレステロール、高脂血症)の診断を受けて治療を必要とする人もいますので、必ずしも狭心症・心筋梗塞や脳梗塞という血管の詰まる病気が生活習慣病のせいとは限りません。

昔、ドラマ「スクールウォーズ」に出演して売れっ子小役だった間下このみさんは、抗リン脂質抗体症候群であることを公表しました。
この病気は、血中に抗リン脂質抗体とよばれる自己抗体が存在し、さまざまな部位の血管を詰まらせてしまう病気です。

繰り返す流産で判明することもある抗リン脂質抗体症候群は、本人の生活習慣のせいではありませんし、難病指定されている病気です。
(詳しくは、難病情報センター 原発性抗リン脂質抗体症候群 をどうぞ) 

話が少しそれてしまいましたが、このように
本人の不摂生とは関係ない病気もあります。
1つの病気が、他の病気にも関連することがあります。
しかし、現代の病気の多くが生活習慣に起因していることは確かなのです。

本人の努力云々は関係なく、生命保険会社からするとリスクの高い人の加入は避けたいところ。
入院治療や手術、死亡率が高いということは、それだけ保険金や各種給付金を払う可能性が高いということです。

このような高リスクの契約者をいかに契約の時点で減らすか。
もしくは、持病ありの無制限型にするか。
ここに生命保険会社は必死です。

そのため、新規で生命保険に加入するときに、保険会社から健康診断を受けるように言われることがあります。
私自身も職場の健康診断は毎年受けていたのですが、持病があったため、新規で医療保険に加入する際に代理店指定のクリニックを受診したことがあります。

病気がないのではなく、病気であることを知らないだけ。
この状態を、保険会社は見逃しません。

冒頭でもお伝えしているように、普通に生活しているだけで、どうしても生活習慣病になってしまう時代を、私達は生きています。
いまどき健康診断で「L」も「H」もつかない人は、本当に希少な存在。
もしあなたがそうであれば、成績優秀なうちに、生命保険の加入を検討しておいたほうがよいかもしれませんね。