「血圧が高い 」と生命保険・医療保険加入は当然厳しくなる


血圧って、なんのこと?

高血圧が生活習慣病の一つということは、広く知られるようになりました。
では血圧とはどういうもので、何が原因で高くなってしまうのでしょう。
そして、血圧が高いとどんな健康被害があるのでしょうか。

まず一番大切なところですが、血圧とは何でしょう?
血圧とは、
「血管内の圧力」
と定義されています。

血管は、よくゴムホースに例えられることが多いですね。
ゴムホースで水を流すとき、その勢いに影響するものは何でしょうか?
【1】水自体の勢い(蛇口の開閉):蛇口を少ししか開かなければ、水は少ししか流れない
【2】ホースの弾力:弾力のあるホースは、指で潰すと勢いがよくなる
【3】水の粘度:水と泥水では、水の方が流れやすい

これをホースが血管で、水を血液に置き換えると
水の勢い→心臓のポンプ機能
ホースの弾力→血管の弾力性
水の粘度→血液の粘稠度(サラサラ度)
となります。

血液は、ポンプの役割を果たす心臓からスタートして、全身へ血液を送り出されます。
血液の中に、人間が生きていく上で必要不可欠の酸素が取り込まれているのです。
もう少し細くすると、肺から取り込まれた酸素を多く含む血液が、肺静脈を出て心臓の左心房に戻り、そこから左心室→全身という流れで酸素が供給されます。

ポンプである心臓がうまく機能しなければ、全身へ血液を送り出すことができません。
しかし、ホースである血管の機能が悪かったら、やはり血液を全身に循環させることはできないのです。

ゴムホースを指で潰せば、水は勢いよく遠くまで飛びますが、それが土管のように硬い場合は、自然に流れていくのを待つしかありません。
心臓がポンプ(拍動)したとき、弾力のある血管ならスムーズに身体中に血液を循環させることができますが、土管のように硬くなった血管では、流れが悪くなるのです。

そして、泥水と川の清流では、川の清流のほうがよどみなく流れていくように、血液もサラサラの血液の方が流れが良くなります。

さて、ここで血圧がやっと出て来ます。
血液を身体中に循環させるときに、血管に加わる圧が「血圧」です。
サラサラと流れているときには問題のないのですが、血液を全身に送り出す過程のどこかに支障が出て無駄な圧がかかってしまう状態、それが「高血圧」なのです。

高血圧については国立循環器病センターの[84] 血圧の話でより詳しく説明されています。
勉強になりますので、ぜひ読んでみてください。

血圧が高いと、身体にどんな影響があるの?

コンクリートの土管にヒビが入るように、弾力のない血管では、壁が血液の流れる圧に負けて破れたり、傷がついてしまいます。
もし流れる水が泥水のようなドロドロの血液だったら、土管+泥水で流れが悪くなります。
そして、流れが悪くなって停滞してしまった水の圧は、逆流してポンプである心臓と、心臓につながっている肺、血管が細くてもろい腎臓にかかります。
また、流れが滞って身体に水が貯まってしまうと、それがまたポンプ機能を高めて送り出さなければならない状態を作り出すという、悪循環になります。

つまり、高血圧という状態になっていると、血管や血液の流れに関連する病気が進行している可能性がありますよということになります。
それでは、どのような病気を引き起こすのでしょうか?

血管にヒビが入る→出血しやすくなる→脳出血(脳内出血、クモ膜下出血)
解離性大動脈瘤、心筋梗塞など
流れが悪くなる→酸素が足りない→脳梗塞、心筋梗塞、狭心症
肺梗塞、閉塞性動脈硬化症など
水圧がかかる→心臓・肺・腎に負担→心不全、肺高血圧症、腎不全など
              

聞き慣れた病気が出てきましたね。
脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症・・・どれも生活習慣病とされる病気ですね。
進行すると人工透析が必須となる腎不全も、血圧に関連しているのです。

塵も積もれば山となる!? 日々の習慣が大きな差!

上に挙げた高血圧によって引き起こされる病気は、どれも命に関わります。
中には、病院に到着する前に亡くなってしまう病気もあります。
なんとか一命を取りとめても、寝たきりになってしまうことがあります。
無事に自宅に帰ることができても、麻痺や失語などの障害が残ってしまい、仕事には復帰できない人も、大勢います。

社会の表舞台に出ないというだけで、高血圧の起因する病気によって健康被害を受けている人は大勢いるのです。
ではなぜ、これほど怖いものなのに高血圧になってしまう人が多いのでしょうか。
自制しなければ、高血圧を予防することが難しいからです。

体に起こる影響は同じですが、実は高血圧には二つのタイプがあります。

<あなたの高血圧は、どっち?>

本態性高血圧:原因がわからない 
二次性高血圧:原因が明らか(薬や病気による)

日本人に多いのは本態性高血圧です。
原因がわからないというのは、いろいろなことがからみあっているので特定できないと考えてもらった方がよいでしょう。

<1つじゃないゾ! 本態性高血圧の原因は?>

  • 肥満
  • 喫煙
  • 塩分の摂り過ぎ
  • ストレス

テルモの血圧を上げる原因ってなに? を参考にしていただけると、わかりやすく説明されています。
ファイザーの高血圧には2種類ありますというページもわかりやすいですね。

最近では医療機器や製薬会社のサイトで、病気について詳しく説明していることが多いですね。
特に高血圧についてはページが充実しています。
それだけ、高血圧の人が多くて需要があるということですよね。

さて、上の高血圧の原因のうちストレスは本人の努力次第とは言えない面もあるのですが、
残る肥満・喫煙・塩分の摂り過ぎは、生活習慣によるものですね。

今の時代、意識的に運動をしなければ身体を動かす機会は少ないですし、食べ物もおいしいものがコンビニでも吉野家だって、安く買うことができます。
おいしいと感じさせる外食やコンビニ食に共通することは、味付けが濃いことです。
食べた瞬間「おいしい!」と感じてもらわなければ、リピートしてもらえません。
そうなると、必然的に濃い味つけになってしまうのです。

また、怖いことにコンビニのおにぎりでさえ脂質が含まれているのをご存じですか?
本来、白米に脂質は含まれません。
それを、つやつやでパサパサしていないおいしいおにぎりを提供するために、油が塗ってあるらしいですね。
できたてのホカホカおにぎりなら、少しの塩と海苔だけで美味しく頂くことができますが、いつ食べるかわからないものを美味しくするためには、このような工夫がしてあるのです。

生活習慣というのは、本当に怖いものです。
間食をする習慣のない人にとっては何の苦痛もないのですが、目に入るもの全てがおいしそうにうつってしまう私のような人間にとって、コンビニという食料保管庫がそこらじゅうで誘惑しているのです。

それも、お手頃価格でスイーツまで買えます。
毎日仕事帰りに夕飯とデザートをコンビニで調達している人は、塩分も糖分も脂質も自炊派より高くなってしまうのです。

1日300kcalのスイーツも、1か月にすると9000kcal(´゚д゚`)
これ、体重60㎏の人がランニングで消費しようとすると、150㎞走らないと消費できないカロリーです。
逆に、スイーツの習慣のない人が、週2回10㎞ずつのランニングを趣味として行っていた場合、消費してくれるカロリーは4800kcal。

その差は13800kcalです。
1か月でこの差ですから、年単位で積み重なると、たかが習慣では済まされないことがわかりますね。
そして、現代においてはよほど意識しなければ定期的な運動を欠かさないというのは難しいし、1人暮らしのビジネスマンが毎日自炊するというのも、相当の努力が必要なのです。

だから高血圧は嫌われる

人間誰しも、苦しい・辛い・面倒なことは嫌ですよね。
どうしても楽な方に進んでしまうものです。
意識して自制しない限り、高血圧になるのは当然と言えるのです。

若いうちは若さで弾力のある血管や活発な代謝を保っていても、40代にもなると生活習慣を如実に反映するようになります。
そして、このような自制できない人というのは糖尿病のリスクも高く、糖尿病+高血圧という血管にとって最悪のコンビを組んでしまうのです。
(糖尿病がどれほど怖い病気かについては、生命保険と健康状態の関係「糖尿病」で詳しくお伝えしていますので、こちらを読んでいただければと思います。)

肥満・喫煙・塩分の摂り過ぎは、自分次第でどうとでもなります。
だからこそ、そこに自制心の有無や規則正しい生活をしているかどうかが現れてしまいます。
これらは高血圧の原因でもありますが、同時に他の生活習慣病の原因でもあります。

ですから、高血圧症の人が新規に生命保険に加入することは難しいのです
引受拒否まではならなくても、条件の厳しい引き受け基準緩和型になることが多いでしょう。
生命保険各社の基準がありますので、治療を受けていればいいものもあれば、一定の値で決めるものもあります。

高血圧症の中には、「白衣高血圧」といって、医療機関で白衣の人に血圧を測定されるというだけで血圧が上がってしまう人がいます。
ドラマを観るとわかるように、最近は医師や看護師の制服が「白衣」であることは減ってきているので、これはまあ比喩です。

こういう人は、病院や不慣れな場での血圧測定をすると高く出てしまうので、健康診断の結果としては悪い判定が出てしまいます。
このような人は、自宅で毎日測定していれば本当の血圧が高くないことが証明されるのですが、検診結果としては毎年引っかかってしまいますから、安くて保障の厚い生命保険に加入するのは、少し難しいかもしれません。

少し脱線してしまいましたが、現代社会で高血圧症患者が多いのは事実です。
これらの人達全てを引受拒否にしていたら生命保険会社も潰れてしまいますから、各社とも持病ありでも加入できる何らかの商品は用意していることが多いですね。

高血圧症の人は、持病ありでもOKという生命保険商品を見比べて、どの保障が一番手厚くて保険料が安くて、そして親身に相談にのってくれるなどのアフターフォーローがあり安心できるものかどうかを基準に選びましょう。

しかし、高血圧症の人に一番必要なことは、加入できる生命保険を探すことではありません。
まずは生活習慣を見直し、定期的に自宅で血圧を測定することです。
1日では効果は出ませんが、月単位・年単位でみていけば、必ず成果が出るハズです。

もし努力しても血圧の値が思うように下がっていなかったとしても、努力しているから現状維持できているのだと受け止めるようにしましょう。
継続は力なり、ですよ(*^-^*)