「子どもが独立した」後は老後を考えた保険に見直し


やっと教育費の重圧から解放!?

子どもが就職したら、親は子育て終了。
自宅通勤の場合、洗濯や食事の世話は続いてしまうかもしれませんけれど、金銭的な責任を負うのは終わりです。

そのとき、
「やっと教育費から解放された~‼」
となるのか、それとも
「自分の元から巣立ってしまった・・・」
というさみしさがあるのか。

小学生の母である私には、さみしさと解放感のどちらがあるかはわかりませんが、「ほっとした」という気持ちは抱くのではないでしょうか。
それだけ、子どもを育て、教育費を捻出するのは大変なことだから。

人生の3大支出の1つである教育費を払い終えるというのは、本当に大変なことです。
20年ちょっとの間、調子が悪くても会社の業績が悪くても、転職しても働いて養ってきました。
時には子どものためと、自分の欲しいものややりたことを我慢したこともあったでしょう。

そんな大変な子育ても、社会人になったらもう終わりです。
むしろ、これからは経済的に親を頼らせてはいけません。

近年、社会人になっても親を経済的に頼る大人が増えています。
病気や障害で働けない人は別として、年金暮らしの親に食べさせてもらうような子どもを抱えていたら、老後の生活は不安ばかり。
もし給料の少ない会社に就職したのなら、その収入の中で生活させなければなりません。

子どもが独立したあとのお金は、親が自分達のために使うもの。
これから定年までの時間に、できるだけ老後生活の基盤を作らなければならないのです。

人生最後の「貯め時」、今からできる備えは何?

人生には、「貯め時」が3回あると言われています。
【1】独身時代
【2】結婚してから、子どもが小学生に上がるまで
【3】子どもの独立から定年まで

共働きで働くお母さん達からすると、【2】はそんなことない!と言いたくなるかもしれませんね。
子どもが生まれるまでは、確かにDINKSですから貯め時と言えます。
しかし、育休後に妻が復帰してからは保育料負担が重くのしかかるので、実際は小学生よりも保育園に預ける方が教育費は高くなってしまうから。

習い事も小学校入学前からするのは当たり前の時代になっていますし、おむつや衣類なども含めると、やはり子どもが生まれたあとは貯め時とは言い難いですね。

また、今までは定年退職したら、そこから年金生活にシフトしていたと思います。
だからこそ、定年までにガッツリ稼いで、あとは退職金で残った住宅ローンを完済するというプランが一般的でした。

これからの時代は、年金支給の開始年齢は遅くなるばかりで、額は増えないでしょう。
退職金も、期待したほどもらえないかもしれません。
60歳なんかでリタイアしたら、その後の人生が長すぎて貯蓄が底をついてしまいかねません。
ですから、定年後にセカンドキャリアを築く人も増えています。

これらの時代による変化を加味して、私はこれからの時代における人生の貯め時は下の3つの期間だと考えます。

【1】独身時代
【2】DINKSの間(もしくは、第一子が生まれるまで)
【3】子どもの独立から働けなくなるまで

もう既に【1】も【2】も過ぎてしまい、残る貯め時は【3】しかないというあなた。
末子の独立から定年まで、あなたには何年間ありますか?

働けなくなる=定年
ではありません。

現在の会社に、雇用延長の制度はありますか?
あなた自身に、会社に頼らず自分で稼ぐスキルはありますか?

私の勤務する病院の警務は、定年後の元警察官が担当しています。
元警察官で警務担当というと、強面そうな気がしますか?
見た目はいかついけれど、意外にも気さくで話しやすいおじさま達です。 (*^^*)

彼らは公務員として勤め上げ、退職金をしっかりと受け取っているはず。
それでも、昔のキャリアを生かしてセカンドキャリアを築いています。

病院は、クレーマーとの処理や問題が起こることもあります。
職員が通勤途中で交通事故を起こすこともあります。
そんなとき、この元警察官のおじさん達がうまーく処理してくれます。

私がすごいなと思っているのは、その中の1人。
元警察官というのは他のおじさん達と同じなのですが、その人の長年の趣味が玄人レベルに達しているのです。

おじさんの趣味は、野菜作り。
子ども達にいいものを食べさせてあげたいと始めたそうです。
6人の孫がいる今でも、警務の仕事の傍ら畑仕事をしています。

これ、お店で売れますよね⁉
というくらいに、農家顔負けの出来栄えです。
朝採りの野菜を職場に持ってきてくれるのですが、野菜なのに甘い‼
子どもも喜んで食べます。
決してお金を受け取ってくれないので、いつもありがたくごちそうになっています。

さて、このおじさんは

  • 病院警務課としての顔
  • 農家としての顔

があります。

警務の仕事で、現役には劣るだろうけれども確実に年金を補うだけの収入があります。
そして、野菜に関してはほぼ自給自足をしていますから、生活コストは小さく済みます。
これは、いくら田舎だからといっても、簡単にできることではありません。

自分の食べるものを作る、これは収入が途絶えてしまってもとりあえず食べ物に困らないという意味で、非常に大きな備えです。
野菜作りは、1年や2年でマスターできるものではありません。
昔からやっていたからこそ、今価値があるのです。

今の会社を退職したら、あなたには何ができますか?
これからの時代、細々とでも働いて稼ぐ期間を延ばし、完全に年金頼りの生活にしないことが、老後を見据えたこれからの生活には必要です。

今までは、子育てと住宅ローンの返済で精いっぱいだったことでしょう。
しかしこれからは、まだまだ先の長い人生どう生きるかを、夫婦でしっかりと話し合いましょう。
まず、老後のプランはここから始まります。
おじさんのように、趣味と実益を兼ねて、新しいことにチャレンジできるとよいですね。

子どもの独立後も教育費が続く人、既に年金生活に突入の人

ようやく子どもが就職して、子育てを終了した・・・と胸をなでおろしている人の中には、現実には教育ローンの支払いが残っている人もいるのではないでしょうか。
大学の費用を入学までに貯められなかった場合や浪人してしまった場合、または親の計画から外れて大学院まで進んだ場合など、教育ローンを利用する人もいます。

知人は、美大に進んだ子どもの教育ローンを、子どもが卒業してからも払い続けていました。
子どもは美術と全く関係ない仕事に就いた上に、結婚して孫もいるというのに・・・。
このように、「就職した=教育費負担が終了」とは言い切れない家庭もあるわけです。

最初から「うちは無理」と親子共に腹をくくった方が、奨学金返済や教育ローンの支払いに追われることがなくて済むのかもしれません。
大学進学が当たり前の世になってしまいましたが、一方で親の年収は格差が広がっています。

国税庁の平成28年分民間給与実態統計調査結果によると、
『1年を通じて勤務した給与所得者の年間の平均給与は422万円であり、前年に比べて0.3%増加した。これを男女別にみると、男性521万円、女性280万円で、前年に比べて、男性は0.1%の増加、女性は1.3%の増加となった。
また、正規・非正規についてみると、正規487万円、非正規172万円で、前年に比べ、正規は0.4%の増加、非正規は0.9%の増加となった。』

少なくとも上のデータから考えると、非正規のひとり親家庭が自己資金だけで子どもを大学に進ませることは、非常に困難だと推測されます。
事実、奨学金の返済が滞ってしまう家庭も増加しています。
朝日新聞DIGITAL:奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる

「3人目の子どもが生まれた」場合の生命保険内容>で例に挙げた家庭は、三女の生まれたとき夫は既に49歳でした。
この家庭では、子どもが独立する前に既に自分達の老後に突入することがわかっています。

全員女の子だということもあり、大学に進ませるかどうかはわかりません。
本人が望むかどうかという問題もあります。

しかし、我が家の場合はひとり親家庭ですけれども子どもも1人。
それも男の子なので、できるだけ大学まで進ませてあげたいと思っています。
もしくは、子どもがなりたいと思う職業の専門学校に通うなど、高卒で即社会人にさせるには早いかなと思っています。

大学生活を、幅広い知識を得ながらアルバイトなどもして、社会に出ていく準備期間にして欲しいと考えています。
それに、大学での友達は生涯の友達になることも多いし、サッカーに打ち込んでいるので大学までは思いっきりサッカーをさせてあげるのが私の夢でもあります。

できるだけ自己資金で・・・とは思っていますが、進路によっては奨学金や教育ローンを利用することも視野に入れることになるかもしれません。
そうなると、私も貴重な貯め時である③の子どもの独立から働けなくなるまでの期間を、教育ローンの返済に使ってしまうことになります。

子どもが就職した時点で教育費から解放されるとは限らず、教育費につぎ込みすぎて老後資金が心もとないという家庭が多い、現代のサラリーマン。
子どもの独立を機に、夫婦で自分達の老後を具体的に考える必要がありますね。



人生100年時代は、働きながらリタイアメント生活を送る

人生100年とすると、老後の期間は約1/3を占めます。
定年後、年金と預貯金の取り崩しだけで生活費は足りるでしょうか?
教育費と住宅ローンの支払いに追われていた家庭では、預貯金といっても数年分にしかないのでは?

となると、老後を見据えたこれからの生活をどうするか。
そして、この最後の貯め時を生かすためにはどのような行動が必要になるのでしょうか?

<人生100年時代の老後、どう備える?>

  • 生活コストをできるだけ小さくすること
  • 小さな仕事をできるだけ長く続けること

自分で仕事をとってきて収入を得ることは、個人事業主には当たり前のことかもしれません。
しかし、サラリーマンの大半は給与以外の収入がゼロ。

例に挙げた警務課のおじさんのように、定年後は病気をする率も高くなるし、体力の衰えもあります。
若いときと同じような仕事を70歳・75歳でも続けることは、無理とは言いませんが、現実的ではありません。

ポイントは、「小さな仕事」です。
老後の生活を考えるにあたって、ダイアン・マルケイのギグ・エコノミー 人生100年時代を幸せに暮らす最強の働き方(Amazon)は、一読の価値があります。

「ギグ」というのが、私の言う「小さな仕事」のこと。
農家(野菜作り)も一つのギグです。
おじさんの場合、警務課の仕事と農家の仕事という2つのギグのおかげで、1年間の療養生活を送ることができたし、年金だけを頼りに生活する期間を先延ばしにすることができます。
本当に生活に困ったら、野菜を売ることで収入源を確保できます。

昔は子どもが独立したら、そこから老後費用を貯めれば間に合いました。
退職金で住宅ローンを完済し、残ったお金とこれまでの預貯金に年金を合わせれば、十分暮らしていけたのです。

これからは違います。
定年後が長いのです。
労働期間を長くしないと、定年後に35年間の老後生活が待っています。

教育費と住宅ローンの返済・老後費用を同時に貯めることが可能なら、老後の経済的不安は減りますよね。
計算上は、30歳から定年後の35年分の生活費を貯めることができればいいのです。
毎月、35年後の今月の生活費(年金で不足する分)を貯めればいいでしょう?

でも、現実はそうはいきません。
教育費とマイホームだけで、精一杯。

いくら貯めたら老後が安心できるかは、人それぞれ違います。

  • 生活を小さくすること
  • できるだけ小さな仕事(ギグ)を持ち続けること

この2つを実行すれば、預貯金がなくても80歳までなんとかなるかもしれない、という可能性の話です。

私の勤務先の通院患者さんで、80歳を超えてもまだ働いている人もいます。
パリッとしたジャケットを羽織って来院する男性は、現役時代は法学部の教授だったようで、今でも大学の非常勤講師です。

この患者さんは、大学へは「ちょっとお小遣いをいただきに行くんです」と笑って言います。
若い人たちに元気をもらうのだとも。
週に1回数万円の「お小遣い」を稼ぎに授業を受け持ち、それ以外は本を読んだり、趣味の社交ダンスをしているそう。

これぞ、理想的な生活ですね。
専門知識のある人だからというのもありますが、この男性は大学の非常勤講師としてのギグで、1か月のパート主婦の給与分ぐらいの収入を得ているのです。

健康寿命を延ばすこと。
誰かに提供できる価値をもっている人間であること。

これが、私の身近で上手に働きながらリタイアメント生活を送っている人達に共通することだと思います。
子どもが独立した今、自分のスキルの棚卸をしてみませんか?
あなたにも、人に提供できるだけの価値が眠っているかもしれません。

子どもの独立は、生命保険を見直すタイミング

ファイナンシャルプランナーや経済学者などの専門家によると、老後資金は3000万円から5000万円必要と言われています。
一方で、1000万円で十分だという人もいます。
一体、いくら貯めたら安心できるのでしょう?

「老後費用にいくら必要か」という計算は、生活コストの削減や何歳まで働くことができるかどうかで全く異なったものになりますので、いくら一般的な話をされてもそれがあなたにもあてはまるとは限りません。

子どもが独立してから自分が完全にリタイアするまで20年ある、これから投資信託で老後資金を積み立てよう・・・というのも、悪くはありません。

昔は定年後には元本保証のあるものや、安全な金融商品が推奨されていました。
今でもそうです。
若いうちなら多少はリスクの高い商品にチャレンジしても取り戻すだけの時間がありますけれど、年を重ねるほどリスクの高い商品に手を出すのは危険。

20年あると思っていたら、5年後に脳梗塞で動けなくなるかもしれませんから。
本来、「増やす」のは時間をかけて、ゆっくりお金を積み上げていくこと。
それが予想外に早くリタイアしてしまったら、どうでしょう?

これからの人生100年時代では逆に、上で紹介した元大学教授のように80歳過ぎてもちょこちょこと働くことができるかもしれません。
それならば、5年後にすぐに預貯金をおろす必要がないので、今から教育費に充てていたお金の一部を投資信託にまわす選択もアリと言えるのです。

投資信託で増やすのは悪くはないのですが、ここからは金融商品で「増やす」よりも、いかに健康寿命を延ばして「働きながらリタイアメント生活を送ることができるか」が重要だと思います。
生命保険も、これから新たな商品に加入して活用しようというより、まずは今までの契約を見直すことが先決でしょう。

生命保険に加入したのは、子どもや配偶者を守るためだったはず。
もちろん、自分の生活保障も大事ですけれど、一番は子どもを育て上げるためだったと思います。
それならば、子どもが晴れて独立した今、その生命保険は見直す時期に来ています。

このあと夫婦にもしものことがあったとき、困るのは2人分もしくはどちらか1人分の生活費だけです。
今までと同じ保険金額は必要でしょうか?

ここで、いくつかの選択肢があると思います。
【1】解約して、現金化しておく
【2】払い済みにして、これからの保険金負担をゼロにする
【3】保障額を低くする(減額する)、一部(特約部分)解約する

もちろん、保険料負担が苦でないなら、そのままにしておく選択肢もあります。
もし【2】・【3】を選択するのであれば、保険金の受取人も確認しておきましょう。

多くは夫婦でお互いを受取人にしているかと思いますが、子どもを受取人にしている家庭もあるでしょう。
その場合、子どもは既に教育費もかからないし、経済的に支援する必要もありませんから、妻もしくは夫に変更しておきましょう。
子どもを受取人にした場合は、実質嫁(婿)のお金になってしまうかもしれないことを考えつつ・・・。

逆に、あえて相続対策として子ども名義の生命保険に加入するのもありです。
財産が自宅とその敷地がほとんどの場合、分割にもめたりすることもありますので。
保険金を「遺された者の生活保障」と考えるのではなく、「財産分与」として活用するのも、中小企業の会社役員などでは使う方法です。

我が家は、私が52歳で子どもが独立する予定です。
墓はあるし、私だけなら小さな葬儀で十分。
(墓の維持・管理にはお寺へのお布施や付け届けも必要にはなりますけれど、そこは今は触れずにおきます。)

ですから、私の死亡保険は52~65歳の中で、解約返戻金が総払込金額を超えたところで解約時期を決めたいと思っています。

本当は、現金よりも生命保険金として受け取る方が相続税は減ります。
しかし、私がどの生命保険に加入していて、どこに証券があって、誰に連絡すればいいのか・・・なんて、息子にとっては面倒だと思います。

ですから、私は子どもの独立後すぐではないにせよ、【1】の解約を選ぶつもりです。
大した金額はないので、私は年をとったら銀行口座も含め、資産管理はできるだけシンプルな状態にしておこうと思っています。

あなたが今50代はじめなら、健康不安に対して医療保険の加入も検討してもよいかもしれません。
しかし、この年からの加入で元が取れるほどの保障を受けようと思ったら、どれだけ重病にかからなければならないでしょうね?
それならば、保険に頼ることのないように、健康を維持できるようにライフスタイルを改善する方が、投資効率は高いかもしれません。

子どもが巣立ったこれからは、いかに健康寿命を延ばして働きながらリタイアメント生活を送るか、そのために自分は会社の外でどんなことができるかに焦点を当ててみて考えてはいかがでしょうか。
きっと、今までの人生で培ってきた知識と教養が最大の武器となることでしょう。