「結婚した」ときはどんな死亡保険や医療保険が必要?


生命保険は、ライフイベントごとに見直してみよう

人の一生には、そう頻繁にはない出来事がいくつかあります。
引っ越し程度のものもあれば、結婚のように大きなものもあります。
(結婚は一生に一度というのは古いにしても、多くても2回くらいですからね)

このようなライフイベントの時には、自分の置かれているリスクや資産の洗い出しをすることをお勧めします。
では、そんな“節目”となるライフイベントには、どんなものがあるでしょうか。

<ライフイベントって、意外に多い!?>

  • 進学
  • 就職
  • 結婚
  • 妊娠、出産
  • マイホーム購入
  • 転職
  • 独立開業
  • 配偶者の死亡による離別
  • 離婚
  • 定年退職

これらは、その後の人生の転機となることがあります。
そして、ライフイベントを境に、家計のリスクは大幅に変更します。
それはなぜでしょうか。

まず、あなたが社会人になったとき、あなたは自分の人生における責任を全て自分で背負うことになります。
これまで(学生時代)は、学校の授業料をはじめ生活費は親が用意してくれたし、病院を受診するときの医療費も、基本的には親が面倒をみてくれたはずです。

社会人になったのなら、これからは金銭的に親を頼ってはいけません。
病気のリスクにも備えなくてはなりません。
転職や退職によって一時的に収入が途絶えたとしても、その間の生活費を前もって用意しておく必要があります。
それが本当の意味で大人になったということです。

逆に、あなたのご両親はあなたが社会人となって独立した時点で、教育ローンの残高がある場合を除き、教育費がゼロになります。
つまり、あなたの就職を機に親はリスクが低くなり、これまでと同じ備えは不要になるわけです。

それまでは、子どもの大学在学中に夫の身に何かあったら、学費が払えなくなるという不安があったはず。
おそらく、何らかの生命保険に加入して備えていたでしょう。

これからはその必要がなくなるのですから、それほど高い保障は必要ありません。
ですから、ここで生命保険を解約したり払い済みにするなど、見直しをする必要が出てきます。
もちろんそのままでもよいのですが、ムダな生命保険は保険料負担の分、損してしまいますからね。

こんな具合に、1つのライフイベントがあるだけで、経済的なリスクは大きく変わります
生命保険1つをとっても契約内容の見直しが必要になります。
だからこそ、大きなライフイベントごとに生命保険を見直したほうがいいですよ、と私達ファイナンシャルプランナーは提案するのです。

結婚は、大きなお金が動く特別イベント

社会人になって最初の大きなライフイベントが結婚、ということもあるでしょう。
結婚は、結婚式・披露宴・新婚旅行・ご祝儀など、大きいお金が動きます。
披露宴は、たった1日のために数百万円が動くイベントです。

私は結婚式と披露宴に対する憧れはなく、正直なところ準備が面倒だったので、ほとんど省いてしまいました。
中途半端にやるくらいなら、やらなくていいんじゃない?と。

最終的に、自分達と式場スタッフしかいない、本当に形だけの結婚式を行いました。
衣装に写真にブーケもろもろで、最小単位の結婚式でも40万円以上かかりました。
式の前に婚約指輪と結婚指輪をそろえ、家族を集めた食事会と新婚旅行で、披露宴を省いた我が家でさえ、結婚前後には数十万円単位の大きなお金が動きましたね。

お祝いとしてもいただいたし、出費としても出ていきました。
出産のときも感じましたが、イベント1つで、お金の感覚がなくなってしまいそうでしたね。

結婚式なんて、やらなくてもいい。
結婚指輪なんて、なくてもいい。
お金の使い方や生き方も多様な社会となり、自分らしさを貫く人も出てきました。
結婚しないで事実婚を選択するカップルも、たくさんいます。

でも、まだまだ結婚というのはライフイベントの中でも大きなお金が動きます。
どれだけのお金を使うか、手間ひまをかけるかはピンキリです。
結婚にまつわるこれらのイベントが落ちついたら、少しずつお金のことやこれからの人生設計を始めていきましょう。

結婚したばかりで、お金の話をどこまでできる?

結婚したといっても、しょせんは赤の他人。
私も一時ではあれ、結婚生活を送っていたのでそれはわかります。

10年以上離れて暮らしている姉の方が、同じ家に住んで毎日顔を合わせている夫よりも遠慮がいらないし、考えていることも理解できました。
それは、小さい頃に一緒に生活してきて、価値観を知っているから。
同じ両親に育てられているので、お金の価値観そのものが近いこともありますね。

独身時代は、
「自分で稼いだお金=自分のお金」
でした。

結婚したからといって、その感覚はなくなりません。
これからは、「自分のお金」と「家庭のお金」が別れるのです。
しかし、いつまでたっても「自分のお金」という感覚があると、夫婦になっても本当の意味で人生を共有できません。

お金に関して結婚してから最初にすべきことは、生命保険の見直しや新規加入より、実は自分達夫婦の資産を全て洗い出す(さらけ出す)こと。
しかし、いきなり「銀行口座見せて」というのも気がひけるし・・・。

ここが難しいところ。
でも、これから夫婦共同で生活していくのですから、しっかり話し合っておきたいところですね。

私の場合、お互いの資産(預貯金)のすり合わせをしたのは、ある事件があったからでした。
結婚して半年もしないうちのできごとでした。
ある日、自宅に年金の徴収がやってきたのです。

夫は、年金を受け取れなくなるギリギリのところだったのです。
過去に遡れる分だけ払いましたが、大きな支出でしたね。
そして、結婚早々に夫の金銭感覚を知ることになりました。

こんなことなら、大きなダイヤのついた婚約指輪なんていらなかった・・・と思ったものです。
そう、夫は見栄っ張りだったのです。

付き合っているだけではわからないことはあるものです。
私達は結婚前1年間の同棲生活を送ったあとの結婚でしたが、それでもお金については知らないことがたくさんあったのです。
どんなに長く付き合っていようと、夫婦になるまでは銀行の残高なんて伝えないだろうし、クレジットカードを何枚持っているかまで知らないでしょう?

ライフスタイルの違いは、10年もあれば何百万もの違いを生じます。
自分の感覚で、「相手もこのくらいは貯まっているだろう」という思い込みは危険です。
相手の価値観や基準は違いますから。

私の場合はこの年金事件を機に資産をオープンにすることになったわけですが、これがなかったら夫の年金の支払い状況は分からなかったし、将来に対する備えも全く変わっていました。
(年金が不払いの状態では、障害年金の受給資格を満たさないこともあります)
今となっては、よかったと思っています。

だからこそ、これから結婚生活を送る方達には、まずはどんな生命保険に加入するかとか、いつマイホームを購入するかではなく、お金についてオープンにするところから始めて欲しいと思うのです。



結婚したから必要なのか、結婚したから不要なのか?

結婚にはいろいろな形があります。
結婚年齢だけをとっても、社会に出てまもない20代前半からきっちりキャリアを作って結婚に至った40代、お互い再婚の50代以降の熟年結婚もどれも同じ「結婚」です。

結婚してからのワークスタイルも、人それぞれ違います。
特に女性の働き方は、夫や子どもによって左右されがち。

<結婚後の妻の働き方は多様化している>

  • 結婚した時点で専業主婦になる
  • 第1子ができるまでは働く
  • 第2子の産休で退職する
  • 子どもが何人だろうと、出産後も結婚前と同様に働く
  • 夫の転勤に伴い転職、もしくは退職して専業主婦になる

女性の働き方をめぐっては、夫の仕事や妻の仕事に対する理解・家事の協力有無にもよります。
NIKKEI STYLEで、共働きパパの悩みと本音 仕事と子育て覆面座談会という男性の家事育児参加に対する奮闘を記事にしています。
妻が働くということは、夫もそれだけの覚悟がいるということです。

子どもを預けて働くことは、思っている以上に高いハードルが存在します。
子どもを保育園に預けられなくて退職、専業主婦にならざるを得ないケースもあります。
2016年には、「保育園落ちた 日本死ね」という母親の叫びが社会問題となりましたね。
家事・育児を優先で、子どもが幼稚園や学校に行っている間だけ働くスタイルへの変更を余儀なくされることも。

妻の働き方によって、結婚後の備えは変わります。
例えば、出産を機に妻が退職して専業主婦となった家庭のリスクは、マックス。
夫の身に何かあったとしても、出産直後では乳児を抱えて働くことは不可能に近く、身動きがとれないことを考えなくてはなりません。

逆に、40代後半で結婚し、子どもは作らないと決めてお互いキャリアをもっている夫婦の場合、リスクはミニマム。
夫の身に何かあっても妻の収入がありますから、結婚することでリスクが小さくなっているのです。

不測の事態が起こったとしても片方の収入だけで十分生活していける場合は、乳児と出産直後の妻のいる家庭に比べ、格段に少ない備えで足ります。
(子どもがいない分、自分達の老後の不安は大きくなりますけれど)

現役世代の家計は、車に例えて考えることができます。

<あなたはこれから、どの車で人生を歩みますか?>

1.夫のエンジン1つで妻と子ども2人を支える←昔ながらの一般的家庭
2.夫と妻というエンジン2つで子ども2人を支える←近年多い、共働き家庭
3.夫のエンジン1つで、妻だけを支える←子はなく、妻は専業主婦
4.夫と妻のエンジン2つで、支えるのはお互いのみ←DINKS
5.エンジンは自分だけで、同乗者(家族)はいない←独身
6.妻(もしくは夫)のエンジン1つで、子どもを支える←一人親家庭

どの車を選ぶかで、あなたの家庭におけるリスクは違います。
私の場合は5→4→2→6という具合に、車を何度も乗り換えてきました。

結婚したから生命保険に加入する必要があるのかもしれないし、結婚して夫婦で強力タッグを組むから、逆に不要になるのかもしれません。
単身者は気楽な生活に備えはいらないと考えるかもしれないし、単身だからこそ不安でたくさんの備えが必要と考えるかもしません。

結婚した時点では将来子どもが何人生まれて、最終的に何人家族になるのかはわからないですよね。
いずれは子どもが欲しいと思っていたけれど、授かるまでは妻も今の仕事を続けるというのなら、現時点では4の車になります。

私の職場の先輩で、25歳という若さで結婚した人がいます。
奥さんになりたくてなりたくて・・・という人だったので、子どもができたら退職するつもりで、周囲にも結婚当初から宣言していました。

しかし、3年経っても5年経っても子どもは授からず。
自分より後に結婚した私達後輩の産休や退職を、見送る立場になりました。

結果的に、先輩は1の車を選択する予定が、ずっと4の車に乗っていました。
おまけに、産休や育休でキャリアの途絶えることがなかったため、職場での立場は上になり、収入もどんどん増えていきました。
看護師でずっと同じ病院で産休も育休も取らずに20年以上勤められるのは、かなりレアです。

私としては、専業主婦願望の強かった先輩が結婚と同時に退職しなくてよかったなと思っています。
とてもデキる先輩だったからというのもあるし、子どもを育てるために退職して授からなかったら、先輩の人生は暗いものになってしまっていただろうから。

結婚したから生命保険に加入すべきとは言えないし、まだまだ先はわからないもの。
結婚は、あらゆることの考える・見つめ直すよいきっかけであることは確かですが、今すぐに結論を出す必要もありません。

ライフプラン・キャリアプランを共有すること

結婚にまつわるイベントが終わったら、お金に関することで最初にすべき大事なことは、お互いの資産をオープンにすること。
その次に大事なことは、キャリアプランのすり合わせ、特に妻の今後の働き方です。
これをどうするかで、今後のリスクも加入すべき生命保険も変わります。

上で例にあげた6つの車のうち、今度どれに乗るかという見通しを夫婦で共有しておくのです。
ただし、子どもがからむと予定通りにはいかないことも多々あります。
私の先輩のように、子ども自体できないかもしれません。

子どもを持つと、意外な負担がたくさんあります。
まず、子どもはしょっちゅう体調をくずしやすいです。
そして自分もうつされたり、夜通しの看病で体調をくずしやすくなります。

時間的・精神的余裕もなくなります。
独身やDINKS時代には考えられないことかもしれませんが、小さい子どもがいると、コンビニに行くのも一苦労です。

車から降ろすにはチャイルドシートを外さなければならないし、着けるときにはまた嫌がります。
店内で子どもが走り回ったり商品を触ってしまうから、簡単にぶらっと入ることもためらわれます。
雑誌の立ち読みや、新商品のチェックもできません。
(全く気にしない親もいるから、困るのですけれど。)

洗濯物も増えます。
ご飯だって同じものを食べさせるわけにはいかないので、別メニューです。
一人で食べることもできません。

そんな中で、本当に今まで通りにフルタイムを続けられるでしょうか?
もし途中で妻が根を上げて専業主婦になったら、経済的にはどのような変化があるでしょうか。

子育てとは、どんなに自分が頑張ろうと思っても、思うようにいかないもの。
それを踏まえた上でのキャリアプランを立てておきましょう。

もし夫が独立を検討しているなら、それも夫婦共有の目標としておきましょう。
自営業のリスクは、会社員に比べて格段に高くなりますから。
開業資金の貯蓄も必要になるかもしれませんしね。
夫が独立する際に妻も手伝うのか、それとも夫が自営業だからこそ妻は会社員としての安定した仕事をキープするのか。

夫婦が同じレベルで収入を得られるなら、夫のもしもに対する備えは小さくなります。
しかし、その分妻の保障が必要になることも忘れてはいけませんね。

結婚にまつわるイベントが落ち着いたら、まずはお互いの資産をオープンにすること。
そして、これからのプランを明確にしましょう。
そのあとで、生命保険について考えていけばよいと思います。

まずは現状の確認ですね。
あなたは、妻(夫)が独身時代に加入した生命保険の保険金額・加入内容・受取人
を知っていますか?
もし父親や母親になっていた場合、自分に変えるように言えますか?
そのあとで、最低限の死亡保障と医療保険など決めていきましょう。

教育費や老後のことも、いつかは話し合う必要があります。
子どもはともかく、結婚して早々に老後の話って現実にはピンときませんよね。
でも、昨今は晩婚化が著しい上に年金だけを頼るわけにはいきません。

もし結婚した時点で

  • 年齢が既に40歳を超えている
  • 夫婦ともに、老後の貯蓄に対して強い不安を抱いている
  • 現時点での貯蓄が少ない

なら、できるだけ早めに老後資金として、個人年金やiDeCo・NISAなどの金融商品の検討を始めた方がよいでしょう。

幸せいっぱいの新婚生活。
最初は財布の紐が緩んでしまっても、仕方ありません。
大切なライフイベントですから、十分に幸せをかみしめてください。

でも、緩みっ放しにならないように、できるだけ早いうちに夫婦でお金に関わる価値観をすり合わせ、将来に向けたプランを立てられるのが理想ですね。

まずはお互いの預貯金など現状をつまびらかにし、将来のライフプラン・キャリアプランを話し合うこと。
生命保険の現状を確認し、最低限の加入・見直しを行うこと。
くれぐれもマイホームの話から入ったりせず、正しい順序で進めましょうね(*^-^*)