看護師が20代で結婚したら、ほぼこうなる
看護師は、初任給が他の業種に比べて高いです。
それだけ給与を上げなければ人が来ないこともありますし、新人でも命を預かるという責任を負っているからです。
ですから、私達の世界では20代前半で手取りが20万円以上はごく普通のラインです。
夜勤をたくさんやる場合や夜勤手当が高い病院ですと、手取りが30万円を超えることも決して珍しくありません。
そのため、20代同士のカップルが結婚すると、男性側がよほどの高給取りでない限り夫よりも収入が高くなってしまうのです。
夫の方がそれでプライドが許さないということは、今の時代あまりないですね。
奥さんが稼いでくれるなら、その分贅沢できるのですから。
問題は、私達女性の方です。
ほぼ全ての家事を自分がするのに、給料は自分が上。
精神的にも肉体的にも辛い仕事です。
自分の方が大黒柱で仕事もきついのに、家事負担も全て自分・・・その状況を、どれだけ受け入れられるでしょうか?
DINKSの危険性
このDINKS(ダブルインカムノーキッズ)は、とても楽しい時期です。
お金は2人分の収入ですから、かなり余裕があります。
それまでお互い1人暮らしをしていた場合、1件分の生活費で済みますしね。
(妻の方が広い間取りに住んでいて、結婚前から同棲するカップルも多いです。)
子どもがいないので、家事負担についてもまだ大きくもめることはありません。
たまにイラっとすることがあったとしても、忙しければ食事は外で済ませればいいし、自分が仕事の間の夫のことを気にする必要はありません。
1人の時間も、なんとかまだ確保することができます。
この楽しい時期には、実は将来につながる2つの危険性が潜んでいます。
- リッチな生活に慣れてしまうこと
- 家事を妻がこなすのが当たり前になってしまうこと
高給取りの奥さんと結婚すれば、生活はゆとりがあります。
おそらく夫婦別財布での家計管理になりますので、お互いの収入も支出もほとんど干渉しません。
一定の生活費以外はお互い自由に使えるので、どうしても少しずつ少しずつ贅沢なお金の使い方になってしまいます。
慣れというのは怖いもので、社会人なり立ての頃には質素な暮らしをしていたはずなのに、社会人生活を経る中でクレジットカードを持ち、ボーナスで大きな買い物をしたり、消費のスピードは加速します。
お金の使い方は、一度大きくすると小さくするときには「節約」になってしまうので、ただもとの生活に戻すだけなのに難しくなってしまうのです。
そして、DINKS時代には多少の不満を持ちながらこなしている家事負担も、夫にとっては「当たり前」になってしまいます。
「うちの嫁は家事もしてくれて、給料も高いから贅沢な暮らしができる。自分はなんて幸せなんだ~♪」
ってね。
この夫の甘えが、後に生活が破たんする原因となるのです・・・。
結論を先に言ってしまうと、DINKSの間は堅実なお金の使い方を身に付け、これからのライフプランやキャリアプラン・家事育児について、価値観のすり合わせをしておくべき大事な時期なのです。
この先のキャリアは、子供次第?
女性の社会進出がごく普通の時代になったものの、同じ年齢で妻が男性よりも大幅に給料が高いということは、まだレアなカップルです。
しかし、看護師の世界で15年以上過ごしていると、いろいろな夫婦を見ます。
私達の世界では、旦那より給料が高いのは世間の常識と反対で、ごく普通。
40代くらいなら夫の方が高くなるのも普通ですが、20代の同年代カップルで自分より夫の給料が高いのは、「羨ましい」存在になるのです。
DINKSは、夫婦によってどのくらい長く続くかわかりません。
子供が好きだと言っていても20年子どもを授からず、そのままずっとバリバリのキャリアウーマンの先輩がいました。
逆に、オメデタがわかってから籍を入れたため、DINKSは妊娠娠期間の数か月しかない先輩もいました。
何度も流産を繰り返し、妊活のために退職した同期を送り出したこともあります。
もしこのあと、20年も子どもができないとわかっていたらどうでしょう?
結婚した翌年には子どもができるとわかっていたら?
欲しいのにすぐに授からなかったら?
今の(高)収入があるのは、【1】フルタイム勤務【2】子供なし【3】残業・夜勤可の条件がそろっているからではないでしょうか。
子供が生まれると、今まで当たり前だったこれらの条件を満たすことは、急にハードルが高くなります。
子どもを預ける人がいなければ、残業や夜勤どころかフルタイム勤務すらできません。
フルタイムとパート勤務では、福利厚生も年収も変わります。
DINKSの間にどっぷりと贅沢に使ってしまったら、その変化に適応できるでしょうか?
頑張って働くとしても、家事・育児・仕事の全てをこなすには、言葉では言い尽くせない負担をする覚悟が必要です。
私の周囲の多くの人達が、30~40代を大変な思いで過ごしています。
30代女性の過ごし方については、<【独身:パターン2】現在は独身、将来は結婚を考えている>でもお伝えしていますが、自分だけでは予定すら立てられないのが現実です。
ですから、この先のキャリアは子どもによっても、夫の家事育児の参加、実家の両親の協力、自分の体調によって大きく左右されてしまうからです。
「家庭の事情」は、生命保険では保障されない!?
残念ながら、大黒柱の妻はまだマイナーな存在です。
モデルとなる夫婦も、アドバイスをくれる人も少ないかもしれません。
おまけに、私達のキャリアはこの先どうなるのか不確定要素が多すぎます。
では、その状況で何をどのように備えておけばよいのでしょうか?
まず、この先どのくらい自分がフルタイムで働くかわかりませんが、もし自分が全く働くことができなくなった場合の生活費・収入について考えましょう。
夫の給料だけで生活できるでしょうか?
おそらく、現在はあなたの収入を見越した生活をしているのではないでしょうか。
場合によっては、あなたの収入が半減しただけで、貯蓄を切り崩していく生活に転落するかもしれませんね。
<妻はずっと大黒柱ではいられない!? ありがちな退職パターン>
- 夫の転勤に付き合って退職した
- 体調を崩して退職した(病気やケガ)
- 職場での人間関係やパワハラで退職した
- 妊活のために退職した
- 親の介護のために退職した
いくら稼ぎ頭と期待されても、子どもがいなくたってこれらの理由で退職して収入が途絶えることはあり得るのです。
特に、転勤に付き合った場合と妊活はおひとり様にはない、結婚しているからこその理由です。
もしDINKS時代に質素で堅実な生活を送っていたら、妻が退職してもなんとかなります。
夫が家事に積極的に参加してくれれば、多少の体調不良を抱えてもなんとか仕事を続けることができるかもしれません。
(夫の家事育児の参加については、<【既婚で子どもがいる:パターン1】共働きで夫よりも収入が多い(自分が一家の大黒柱)>で詳しくお伝えしています)
妻は、いつまでもずっと大黒柱でいられるとは限りません。
全ての条件がそろって初めて女性で大黒柱というレアな存在になれるのですから、少しでも歯車が狂えば、あっけなく給料は下がります。
そして、生命保険は病気やケガに対する備えがほとんど。
女性の退職については、収入保障保険も医療保険も学資保険も関係ないことが多いのです。
ここが、男性と大きく違うところです。
世間一般では、大黒柱の夫の収入が途絶えるときというのは病気やケガが多いため、生命保険で備えられる確率が高いのです。
残念ながら、私達女性はまだマイナーな存在で、大黒柱妻の様々な理由による「もしも」の退職を助けてくれる保険商品は少ないのです。
<【独身:パターン1】独身で今後も結婚するつもりがない>や<【独身:パターン2】現在は独身、将来は結婚を考えている>を参考に、収入保障保険や医療保険を検討するのも悪くはありませんね。
おひとり様ではなくても大黒柱ですから、収入保障保険の加入も検討に値します。
現実的には既婚女性が仕事を辞める・収入が途絶えるときは、「家庭の事情」がほとんどで、保険金の給付対象となる可能性は低いでしょうけれど・・・。
DINKSの過ごし方で、将来が変わる
この時期を超えてきた私が思うには、女性がDINKSの時期にしておくべき本当の備えは、生命保険ではないのではないかということ。
あらゆる可能性を考え、先を読み、どんなリスクにも対処できるようにしておくことではないかと思うのです。
具体的には、何をしておくべきなのでしょうか。
正解はありませんが、たくさんの看護師の夫婦を近くで見て来て、また実際に結婚生活が破たんしてしまった私自身の経験から、これからの人達に向けて私からの提案です。
<簡単なようで難しい!? 今の時期にできる、もしもの備え>
- 贅沢な暮らしに、夫婦共に慣れないこと(できれば夫だけの収入で生活する)
- もしもに対する現金を貯めておくこと
- 夫婦で1つの財布にし、家計の収支をお互い把握すること
- 将来のライフプランやキャリアプランを、夫婦でしっかり話しあうこと
- 夫の家事育児の参加を、「手伝い」レベルではなくて「当然」にしておくこと
- お互いの両親の手助けを借りられるようにしておくこと(実家の近くに住むことも検討)
- お互いの生命保険の加入内容を見直し、検討すること
- 思いきり働ける間に自己研鑽に励み、しっかりキャリアを積んでおくこと
簡単なようで、意外にできていないことばかりではないでしょうか。
新婚気分からそのまま何年も経ち、贅沢が当たり前になっているでしょう。
妻の収入に頼れない日がいつか来るかもしれないという意識改革は、夫の協力が不可欠です。
まだ先のことなんてわからない。
今が夫婦2人の楽しい生活なんだから、いいじゃない。
今のうちに楽しんでおきたい。
そう思うのもわかります。
しかし、女性には男性よりも将来の不確定要素が多く、特に子育てや介護に関しては必ずしも頑張れば乗り越えられるというものではありません。
女性の場合、5年・10年先のことを見通すのも難しいものです。
今は自分の収入が高いかもしれませんが、収入が逆転したりダブルインカムではなくなることのリスクをしっかり意識しておくことが大切です。
DINKSの間の過ごし方、そしてこれからのことについて、夫婦でしっかり話あっておきたいですね。