【既婚で子どもがいる:パターン3】夫が専業主夫

※このページ・記事内容は女性看護師を対象にしています

看護師の憧れ!?夫が家事育児を全面サポート

女性の社会進出が進む一方、まだまだ子どもの預け先は不足しています。
そのため、子どもが生まれたあとに元の仕事へ戻れない女性も大勢います。

東洋経済ONLINE東大卒のエリートが「専業主夫」を選んだ理由の中で、妻の研究のために仕事を辞めて専業主夫を選んだ男性について紹介されています。
この夫婦は、育児休暇がなかった妻のために夫が2年の育児休暇を取得したところから始まり、最終的に完全な専業主夫になりました。

このように、妻が仕事をバリバリこなして夫が支える生き方も、素晴らしいと思います。
まだまだ少数派なので、理解を得るには難しいかもしれませんが。

子どもを産むことはできませんが、育てることは男性にだってできることです。
そもそも第一子のときは、母親だって手探り状態で子育てにあたっているのです。
トライ&エラーを毎日繰り返す中で母親も子育てに慣れていくのですから、父親がその役割を担うことだって可能。

産後休暇は、法律上8週間とされています。
これは母親の身体のために必要な期間です。
ですから、妻が産休だけを取得(これは法律上決められています)して育休をとらずにフルタイム復帰して夫が子育てを担うというのも、夫婦それぞれの性格や職業によってはアリだと思っています。

実際、看護師の仕事は残業ありの三交代あり、更に研修なども含めると家事育児とかけもちするのはハード過ぎます。
自宅での勉強も、スキルアップのためには必要です。
いくら仕事をセーブしたいと思っても医療は日進月歩しますから、新しい治療法や薬がどんどん出てきます。
いくら子どもがいるからといっても、免除にならない強制参加の研修も多いのです。

だからこそ子どもが生まれてから離職してしまう看護師は多いのですが、家事と育児を夫がほとんどこなしてくれるのなら、もっと続けられる人もいるはずなのです。

実際、完全な専業主夫とまではいかなくても、夫の方が定時退社して保育園の送迎や夕飯の用意をしてくれるという夫婦は、私の職場にも何人かいました。
妻の仕事の可能性や社会への影響を理解して協力してくれる夫は、本当に羨ましかったですねぇ・・・。

いくら保育園があるとはいっても送迎や体調不良時のこともあり、DINKSのときとは一転して仕事をフルタイムでこなすことは次第に難しくなりました。
実家の母の協力も最大限に仰ぎ、母には仕事を辞めてもらって保育園のお迎えをお願いしました。
ここまでの協力を得ても、育児休暇から復帰したあとは家事育児に仕事(夜勤もあり)で、私の体調はガタガタに崩れました。

そして、夜勤だけは外れようと転職しました。
あのとき夫が全ての家事育児をこなしてくれていたら、せめて半分ずつの負担だけで済んでいたら・・・そのまま交代勤務を続けていたかもなあとも思います。
育児だけでなく私の食事の用意もしてくれて仕事だけに集中できたなら、私の体力ももったかもしれません。

ただし、高給取りの妻の収入をアテにして仕事をしない夫は論外です
家事育児のために夫が専業主婦を選択するのは、少数派だとしても何も問題ないと思います。
専業主夫になってもらうのなら、前向きな理由で選択して欲しいと思います。

どうしても存在する“男女の違い”を理解しておこう

妻がバリバリのキャリアウーマンで大黒柱の場合、世間一般の男性と同じように妻に生命保険をかけておくのが、リスクマネジメントの基本となるかもしれません。
では、世間一般の家庭と同じような考え方で、大黒柱の妻だけ死亡保険に加入しておけばよいのでしょうか?

ここで、少し考えて欲しいことがあります。
いくら妻が高給取りでキャリアウーマンで男性的な社会的役割を果たすことができても、身体は男性とは違うことです。

<女性の戦線離脱は、働き盛りにやってくる!>

  • 妊娠出産(子どもの数だけ)
  • 女性ならではの病気(乳がん、子宮がん他、婦人科疾患)
  • 重い更年期障害

男性の場合、子どもが何人産まれようが何か月も戦線離脱することは通常ありません。
ところが女性の場合は、どうしても妊娠出産がからむと数か月単位での休みが必要となります

いくら計画的に仕事を進めて引き継ぎを完璧にするつもりでいても、どうしても急なトラブルはありえます。
私自身、産休の2か月ほど前に切迫早産である日突然、緊急入院&自宅安静となりました。
退院後そのまま産休に突入するというドタバタ劇を経験し、職場にも家族にも迷惑をかけました。

産後は特に問題はなかったのですが、帝王切開だったため傷跡は数か月痛みました。
そして育児休暇を当初より短くして調整しましたが、それでも1年の休みをもらいました。
もし育休をとらずに夫に子育てを頼むつもりでいても、産後の経過が悪い場合は8週間の産後休暇だけでは職場復帰できない可能性もあります。
妊娠・出産というのは自分の思うようにならないし、数か月単位で予定が崩れるものなのです。

また、女性ならではの病気も考えなくてはいけません
下のグラフは、国立がん研究センターの発表した最新がん統計で、乳がんの死亡率を示したものです。

全体的には右上がりのようですが、そのスタートは25歳から始まっています。
私も20代で乳がんの発見された患者さんを見ていますし、元ニュースキャスターで2017年6月22日に乳がんで亡くなった小林麻央さんは、享年34歳という若さでした。

また、女性特有の病気には子宮がんもありますし、がんではなくても子宮筋腫などの婦人科疾患もあります。
子宮筋腫は程度が軽い場合には特別治療することはありませんが、重度の子宮筋腫では貧血によって輸血が必要になったり、緊急手術の適応になることもあります。
単純な鉄欠乏性貧血も女性に多く、息切れや疲労感の原因となります。

また女性には、更年期障害の問題もあります。
早いと40代始めから突入し、仕事どころか日常生活にも支障の出ることがあります。
こういったがんではない“女性ならではの問題”も、仕事をバリバリにこなそうと思うと体がついてこない事態を起こしてしまいます。

男性にも、前立腺がんという特有の病気はあります。
しかし前立腺がんは同じ国立がん研究センターの最新がん統計によると、下のようにスタートの年齢が50代後半からになっています。

これらの身体的な男女の違いから、女性の場合は働き盛りである30代・40代で体調をくずす可能性が、男性よりも高いと言えるのです。
もちろんこのデータには大腸がんや胃がんは含まれておりませんので、これらの病気によってキャリアの継続が不可能となることもあるわけです。

夫が専業主夫の場合、検討すべき生命保険は何?

身体的な特徴を考えると、いくら男女の社会的役割が逆転している夫婦とはいえ、妻に死亡保険だけをかけておけばよいのでしょうか?
まだまだ夫が専業主夫の家庭はお手本となるようなモデルケースはないので難しいところですが私は個人的に、定年を迎えるよりも早く戦線離脱する可能性は、男性より女性の方が高いと思っています。
ですから、妻に頼り切りではなく、いくつかの網を張っておくのはいかがでしょうか

<妻のもしもには、コレで備える>

  • 妻が医療保険に加入(女性独自の婦人科のがんについての保障も要検討)
  • 妻が収入保障保険に加入
  • 夫も医療保険に加入
  • 夫も死亡保険に加入
  • 子ども保険に加入

ここら辺を検討してはどうかなと思います。
こども(学資)保険に関して理解しておきたい基本を解説!>で詳しくお伝えしていますが、子ども保険のメリットは低金利時代では増やすことにありません。

  • お金に色を付けて、半強制的に貯める
  • 契約者の死亡時には、その後の払込が免除される

この2つだと思っています。

もし妻が死亡したし高度障害を抱えた場合、その後の子ども保険の保険料は免除されますが、指定の年齢になればお祝い金を受け取ることができるのです。
高度障害というのがどの程度かは各保険会社によって基準が異なります<よくある生命保険のムダ03「保険金不払い条項が多すぎる」>ので期待できませんが、妻が亡くなるという最悪の事態のときの、1つの備えにはなります。

生命保険より助けになるのは、家族のキズナ?

【既婚で子どもいない:パターン3】夫が専業主夫>でもお伝えしましたが、夫が専業主夫の場合の一番確実な保険は、夫にも働いてもらうことです。
ただし、子どものいる場合は子どもを預けて働くということがとても高いハードルになります。

もし、妻の休日に夫が仕事に行くとしたら、どうなるでしょう?
十分に休息することができなくなります。

私達看護師は、夜勤明けでも休みは休みと思われがち。
しかし、夜勤明けで子どもの世話をするのは、現実はかなり難しいものがあります。
多くの看護師がこれを求められるため、夜勤が続けられなくなるのです。
勤務している夜の間だけではなく、夜勤明けで睡眠をしっかりとるところまで子どもの世話を頼みたいのです。

ここでもし、週に2日だけ夫婦どちらかの両親が子どもを預かってくれたら?
8時間×2日×4週で、月に64時間働くことができます。
仮に時給1000円のアルバイトだとしたら、64000円の収入になります。
丸1日預かるのが大変なら、半日だけでもお願いできたら、月に32000円の収入になります。
もしくは、夫婦それぞれの実家に週1回ずつ頼むというのもいいかもしれません。

これができるように、DINKSの間に将来の働き方と親の近くに住むということを検討しておいて欲しいのです。
<詳しくは、【既婚で子どもいない:パターン1】共働きで夫よりも収入が多い(自分が一家の大黒柱)を参照してくださいね>

子どもが成長して小学校に通うようになったら、もう少し仕事の割合を増やすことが可能になるかもしれません。
中学生になれば、更に手がかからなくなります。

結局これって、世間の一般的な家庭と同じですよね?
どちらが大黒柱でどちらが家事育児優先かという、役割が入れ替わっただけ。
そう、結局は大黒柱でない方がピンチの時には働いて支えることができる、そのための育児のサポートを頼める人のいることが、何よりの保険になるのです。

平時は妻の収入で生活する。
そして、ピンチには夫の出番を多くする。
実家(兄弟姉妹も含む)の助けも仰ぐ。
もちろん、自分だけが助けてもらうのではなくて、自分も助ける側にまわることもあります。

生命保険は、もしものときには頼りになる存在です。
しかし、本当の危機的状況を乗り切るために必要なことは、家族の絆と協力体制なのかもしれないなあと、子どもを抱えてみて感じるようになりましたね。

自分だけでは頑張れないことも、家族で乗り切る。
大勢の大人で子どもを育てる。
それができるのが、夫婦がそろっていることの強みですよね。