おひとり様という生き方
結婚せずに一生を過ごす女性は、現代では珍しい存在ではありません。
結婚したいのにご縁がなかったという人もいれば、あえて1人の生活を選択した人もいるでしょう。
理由はどうであれ、結婚しないという人生もあっていいと思います。
「おひとり様」と言われるけれど、別に恥ずかしいことでもなんでもありません。
私も離婚経験があるのでバツイチですけれど、前向きに離婚した身としては、全然「バツ=失敗」と思ってはいません。
つまり、結婚している人が勝ち組でしない人(離婚した人)が負け組なんて安易な分け方は、現代にそぐわないのです。
とはいえ、夫婦と子供のそろっている家庭とは違い、抱えるリスクも全て1人であることは承知しておく必要がありますし、そのための備えも必要です。
おひとり様は気楽でいいけれど、何かあったときに頼れる人もいないということなのです。
風邪を引いても1人です。
入院するような病気になっても1人。
そこでおひとり様が一番に考えなくてはならないものは、自分が働けなくなったときの収入ではないでしょうか。
扶養する家族がいないということは、お金も時間も自分の自由です。
それも気楽です。
しかし、いざ自分が働けなくなったときには自分を助けてくれるお金がなくては話しになりません。
特に一人暮らしをしている場合には、どうしても実家暮らしよりもお金がかかります。
病気やケガで戦線離脱することになったら貯蓄を切り崩すことになり、そのときに預貯金がなかったら即、生活に行き詰る可能性があるのです。
ですから、おひとり様最大のリスクは「就労不能状態に陥ること」でしょう。
それは病気かもしれないし、ケガや障害かもしれません。
また、精神的うつで働くことができない状態になることだってあります。
おひとり様という生き方も、1つの価値観です。
しかし、気楽の代償であるリスクから目をそらしてはいけないのです。
就労不能になったときの生活を左右する2つの要因
なんらかの理由で就労不能状態に陥ったとき、あなたはどれくらいの期間今の生活レベルを維持することができるでしょうか?
無収入でどのくらいの期間耐えられるかどうかは、それまでの貯蓄にかかっています。
給与がなくなれば貯蓄から切り崩すことになりますから、貯蓄50万円の人と500万円の人のあいだには10倍の差があります。
この差だけ、貯蓄の多い人の方が長く生活を維持することができます。
しかし、貯蓄以上に重大な要素があります。
それは、必要な生活費の金額です。
例えば、実家に暮らしている人で特別大きな支出をすることのない人なら、親に頼れば収入ゼロでもなんとかなるでしょう。
しかし、都心の賃貸住まいの人はどうなるでしょうか?
都心に住む人の場合、毎月の家賃が10万円をこえることはザラ。
これに光熱費といったライフライン、それに生活するのに最低限必要な食事と日用品費が加わるわけです。
すると、おひとり様が就労不能状態になった時のリスクは
- 貯蓄
- 必要最低限の生活費
によって大きく変わるということです。
仮に500万円の貯蓄があっても、毎月の支出が30万円の人では、1年半ももちせん。
一方で、50万円しか貯蓄がなくても実家暮らしでほぼ生活費ゼロで暮らすことのできる人は、いつまでも暮らしていけるのです。
(家を所有すればかかる費用はありますが、親が負担してくれていると仮定すれば)
もちろんこれは極端な例ですし、私自身は成人した子供が実家に甘えて老親の年金収入のお世話になる状況が望ましいとは思いません。
また、親に何かあったときは自分の生活も破綻するという別のリスクも存在します。
しかし、万が一のときには助けてもらえる存在は、非常に大きな安心感につながります。
逆に、困ったときに身内の助けを借りられないという人は、全てを自分で備えておかなければならないのです。
おひとり様に存在する、見えないリスク
私も就職して結婚するまでの独身時代は、お金も時間も自由に使っていました。
何度も海外旅行に行ったし、外食も好きにできたし、買い物もたくさんしました。
そして、それらの「仕事を頑張っている自分へのご褒美」は、年齢を経るごとに増えていきました。
私は20代で結婚しましたが、30代・40代で独身の人は長いこと独身貴族です。
キャリアを積んでいく中で給与はどんどん増え、自由に使える金額も増えています。
若い頃には知らなかった、贅沢な生活を送るようになっているでしょう。
これは特に高収入のおひとり様にありがちなパターンです。
このように、自分へのご褒美やこだわりなどから生活費がぶくぶくとふくれあがってしまう家計は、「メタボ家計」と呼ばれています。
あなたはいくらあれば、1か月過ごすことができるでしょうか?
この答えがぱっと出ないなら、知らず知らずのうちにメタボ家計になっている可能性が高いですね。
まず、1か月の支出を可能な限り書き出してみましょう。
そして、その支出の一覧の中から、社会人になりたての頃の支出にはなかったものをチェックしてみましょう。
社会人1年目でも、そのときのあなたにとって「普通」の生活を送っていたはずです。
ということは、社会人なりたての頃になかった支出は、ある意味なくても生活できるものと言い換えることができます。
<独身キャリアウーマンが陥りがちな出費はコレ!>
- 高額な化粧品、エステ
- ダイエット食品
- 外食、飲み会
- ブランド物のバッグや服、靴
- おしゃれで広いマンション
- 海外旅行、国内旅行
- 最新家電
- BSなどの有料放送
- IT機器、ガジェット類
- 高額な通信費
- 車
恥ずかしながら、全て私です・・・(*_ _)
1人暮らしをしていた独身時代は、3交替勤務を頑張っているからと毎年のように夏季休暇には国内・海外旅行をしていました。
賃貸マンションも、広い間取りに引っ越しました。
初回の車検(3年)で、大きな車を買い替えました。
若いうちから高額な化粧品も使っていましたね・・・。
周囲も同じような収入の集まりでしたら、ナースステーションの奥の控室には、ブランド物のバッグがずらりと並んでいました。
ブランド物のバッグは、1つを買って長く使い続けるのなら無駄にはなりません。
しかし、当時の私達は古い型を持っているのは格好悪く、どんどん新しいものを買っていきました。
そんな典型的なメタボ家計だった私が生活を見直すことになったきっかけは、病気です。このままずっとバリバリに働き続けることはできないだろうと気づいた時、今の贅沢な暮らしをしていたらもしもの時に生活できなくなくなってしまうと考え、急に焦りを感じたのです。
そこで私は、当時の家計簿からメタボの部分をそぎ落としていきました。
今では、当時持っていたブランドのバッグは一つもありません。
あのとき、なぜあんな無駄なお金を払っていたのかと後悔しています。
無駄遣いの総額は、車の買い替えも含めれば500万円はゆうに超えていましたから。
おひとり様は、お金の使い方をとやかく言う人がいません。
扶養する家族もいません。
ですから、知らず知らずのうちに生活全般がメタボになっており、急な病気などで就労不能状態になったときに手持ちの現金が少ない上に、贅沢に慣れて簡素な生活に切り替えることができないという事態に陥ってしまうのです。
楽観的に暮らした結果、必要最低限の生活費が高くなってしまうこと。
これがおひとり様に存在するもう一つの見えないリスクだと、私は考えます。
おひとり様は、どうやってリスクに備えるべきか
では、おひとり様はどうやってリスクに備えるべきでしょうか。
個人的に、私は3つの考え方を持っています。
<リスクへは、3つの視点で備えよう>
【1】できるだけ就労不能状態にならないようにする
【2】小さな生活を維持する
【3】就労不能でも入って来る現金収入を持つ
まず【1】ですが、仮に体調を崩しても働き口を確保できるようにするということです。
夜勤ができなくても、日勤だけ・週の半分だけでも雇ってもらえるようにしておく。
強みがある・使える人間でいると、多少労働条件が他人と違っても雇ってもらえる可能性が高くなります。
バリバリに働いていたときと同じ額でなくても、【2】と合わせて必要な生活費を抑えれば暮らしを維持することができます。
そのために必要なことは、常にブラッシュアップを図ることです。
必要とされる人材でいられるように、また働きたいと思った時にすぐ即戦力になる人材でいられるようにと思っています。
ときには勉強にお金がかかることもありますが、それは未来の自分への投資であり、同時に保険であると考えるようにしています。
そして最後の【3】ですが、ここで生命保険が出てきます。
就労不能状態がどのくらい続くのかわからなくても、毎月20万円の収入が約束されていたらどうでしょうか?
生活の心配をしなくて済むかもしれません。
例えば、不動産を所有している場合の不動産収入もそうですね。
しかし、これはなかなか独身女性にできることではありません。
そこで選択肢の一つとしてあげられるのが、就労不能保険です。
もし大きな病気や障害を負ってこの先働くことができなくなったとしても、毎月20万円の保障があれば安心ですね。
ただし、「就労不能」という判断がどのラインでされるかはわかりません。
自分としては働けないと思ったとしても、保険会社からみれば働けるはずだとなるかもしれません。
うつ病などの精神疾患は、医師が仮病を見抜くことができるかという「モラル・ハザード」の問題がありますので、なかなか適応にならないことが多いですね。
生命保険と健康状態の関係「睡眠導入剤 睡眠薬 不眠症」
生命保険と健康状態の関係「自律神経失調症」
でもお伝えした通り、身体的疾患に比べて評価しにくい精神疾患は、保険金の支払い対象とならないことも多々あります。
おまけに毎月20万円の収入保障を受けようとしたら、そのための保険料ももちろん高くなります。
毎月5万円にするか20万円にするか、その金額によってもかわります。
使うかわからないもの・本当に保障が受けられるかわからないものにどれだけお金を支払うかという問題になりますので、本人の価値観によって収入保障保険に加入するかどうかは判断の分かれるところです。
保険に加入する分をそのまま現金で貯めておくのも、1つの手ではあります。
ただし、「貯蓄は三角、保険は四角の図」にあるように、貯蓄は貯めた分しか使うことができません。
実は貯蓄金額が少ないときほど、生命保険で補てんしておく方が安心とも言えるのです。
おひとり様は全てが自由で、全ての責任は自分にあります。
病気や不慮の事故にあったときに頼れるものを、自分で確保しておく必要があるのです。
今も、これからもおひとり様。
それを貫くつもりなら、もしもの時に頼れるものを備えておく必要がありますね。
ただし、それはお金とは限りません。
コツコツと積み上げてきたスキルのこともあれば、ご近所付き合いかもしれません。
あなたを助けてくれるものは、何でしょうか。