職場の最寄り駅にたどりつく前に、下痢と腹痛のために途中下車して、トイレに駆け込む。
車で高速道路を走行中にトイレに行きたくなっても、SAやPAまでトイレがないから怖い。
このような下痢と腹痛を呈する病気のひとつに、過敏性腸症候群があります。
現代人に増加している、過敏性腸症候群とは?
過敏性腸症候群は、IBSとも呼ばれています。
少しずつ知られて来ましたが、まだまだ認知度は低いですよね。
病名的に、お腹の症状であることは想像がつくかなと思います。
お笑い芸人、サバンナの高橋さんがCMに出ている下痢止め薬をご存じでしょうか。
このCMや、高橋さんが自身の症状やトイレ事情をカミングアウト(!?)してくれたおかげで、過敏性腸症候群の認知度が高まったと感じているのは、私だけではないでしょう。
この下痢止め薬のセールスポイントは、水なしで飲めることと即効性です。
私自身は服用したことがありませんし、過敏性腸症候群でもないので実際の効果はわかりません。
しかし、それだけ「売り」にしているということは、電車の中や会議中など薬を飲むための水がなかったりトイレに行けない状況で困ったことのある人が多く、需要があるということです。
アステラス製薬のIBSネット 下痢型情報ナビは、過敏性腸症候群でお悩みの一般の方向けのサイトになっています。
これによると過敏性腸症候群は、便の硬さ(性状)によって4つのタイプに分類されます。
<IBSのタイプ>
IBSネット下痢、腹痛、便秘の症状とIBS(過敏性腸症候群)について
過敏性と聞くと下痢だけなのかなと思いきや、便秘型や混合型もあることがわかります。
ただ、実際の生活で困るのは圧倒的に下痢型で、データ的にも私の経験的にも男性が多いようです。
他にも便の性状に異常をきたす病気として、潰瘍性大腸炎やクローン病・大腸癌などがありますが、これらは大腸内視鏡検査を受けるとはっきりとした所見があります。
しかし、過敏性腸症候群は症状が激しい割に“異常なし”なのです。
潰瘍性大腸炎やクローン病は、難病指定されている特定疾患です。
大腸癌は言わずともわかるように、命に関わる病気です。
ところが、過敏性腸症候群は命に関わる病気ではなく、どうしても軽視されがちです。
異常はありませんが、ストレスが原因であることは科学的に証明されています。
緊張したり精神的な負担がかかると、腸の蠕動運動を過敏にさせてしまうセロトニンという物質が腸の粘膜から分泌され、下痢を起こしてしまうのです。
通勤のときだけお腹が痛んだり下痢で途中下車する人は、過敏性腸症候群なのかもしれません。
“異常なし”でも、告知は必要!?
昔は市販の下痢止め薬で対応していたという方も多いのですが、今は過敏性腸症候群の治療薬はたくさんあります。
症状に合わせて医師に処方してもらうことで生活がぐっと楽になり、仕事のパフォーマンスも上がります。
しかし、骨折のように完治ということはありません。
職場が変わったら症状が劇的に改善されるケースもありますが、逆にその環境やライフスタイルが続く限りは、症状が続いてしまうこともあります。
完治せずに通院が続くということは、命に関わらない病気でも「現病歴」になってしまいます。
もしあなたが生命保険に新規に加入するとしたら、過敏性腸症候群で治療を受けていることを申告しなければなりません。
これを黙っていると、告知義務違反としてのペナルティを受けることになります。
告知義務違反によって契約を解除される場合には、それまで払い込んだ保険料の返金もありません。
告知義務は生命保険に加入する際に非常に大切なものですが、実際に契約を結ぶときにはさらっと済んでしまうことがあります。
悪質な勧誘の場合には「不告知教唆」という、契約者が現病歴のあることを訴えても無記入とするように誘導する営業員もいるそうですから、うっかり乗せられてはいけません。
ライフネット生命のサイト、告知義務違反による契約の解除とはなんですか?で、告知すべき内容と、もし違反した場合の契約解除について説明されています。
基本的にはどの生命保険会社でも同じような基準となっていますので、一読しておくことをお勧めします。
また、もし告知義務違反をした場合に生命保険会社が一方的に契約解除できる期間は、2年間とされています。
悪意の有無を問わず、告知すべき病歴を隠していたとしても2年が経過してしまえば、生命保険会社が一方的に契約解除することはできなくなります。
といっても、生命保険会社もお人好しではありません。
保険金を請求されたときに怪しい点があれば、(本人の同意を得た後で)担当医師と面談をして、初診日や症状をいつから自覚していたかなどを聞き出すことができます。
ですから、加入前からの通院や自覚症状がある場合、契約を解除されなくても給付金・保険金は不払いとなります。
そんな危ない橋を渡ってまで人生で2番目に高い支出とも言われる保険料を納めるのはばかげています。
何より、人としてだまし取ろうというのはいただけませんね。
通院歴があると保険料が高くなってしまったり、給付金・保険金の支払いに条件を付けられてしまうことがあります。
しかし、たかがお腹の症状で・・・と思わず、もし過敏性腸症候群で通院をしているのであれば、必ず告知してから加入しましょう。
腸自体には“異常なし”と言われているのに、病歴として告知するのは納得いかないかもしれませんが、後々のためです。
しっかり告知しておけば、別の病気が見つかった場合もそれに対する保障が受けられます。
現代人は、ストレスにまみれている!?ストレス性疾患に対応可能な生命保険
<生命保険と健康状態の関係「うつ病」>でも取り上げましたが、うつ病を始めとする精神疾患の場合、給付金を請求してもなかなかみとめられません。
というのは、精神症状は本人にしかわからないものであり、画像や採血データなどで評価のできないものだからです。
医療機関では、睡眠薬や安定剤を内服しているくらいで精神疾患とは思いません。
保険請求のための「レセプト病名」として不眠という病名を付けることにはなりますが、だからといって専門的カウンセリングを行うわけでもありませんから。
少しナーバスだったり、過敏なだけです。
では、ストレスが原因となる過敏性腸症候群は、精神疾患に入るのでしょうか?
もし初診で過敏性腸症候群らしい患者さんが来院したら、病院は「あなたの受診すべき診療科は消化器内科ですよ」と案内するでしょう。
しかし、生命保険会社は違います。
ストレス性疾病、つまり精神疾患のひとつととらえるのです。
チューリッヒ生命の収入保障保険プレミアムは、ストレス性疾病が原因の場合でも、年金を受け取れるという新しい生命保険です。
これまで全て認められなかった精神疾患を、一定条件をつけて保障しようというのです。
ただし、「ストレス性疾病保障付就業不能保障特約付加の場合」に限りますので、実際にどのくらいの契約者が受け取れるのかはわかりませんけれど・・・。
少しずつ過敏性腸症候群に対する理解が深まり、対応する保険商品も出て来るようになりました。
しかし、実際のところ過敏性腸症候群だからといって仕事を休んだり、入院や長期療養をすることは稀です。
過敏性腸症候群で年金を受け取ることは、現時点ではまだまだレアケースと言えそうです。
過敏性腸症候群かなと思ったら、まずは気分転換です。
それでも続くなら病院を受診しましょう。
上でご紹介したアステラス製薬のIBSネット 下痢型情報ナビでは、あなたの近くの医療機関も検索できますよ。
それにしても、世の中本当にストレスにまみれているんだなあとつくづく感じますね。
あなたはストレス、抱えていませんか?