「保険代理店の社長が、”もしも”に備えていないという事実」~実際の生保事例10~


保険代理店の社長なのに・・・生命保険に入ってなかった!?

ある日、私の勤務先で急な休みの連絡が入りました。
3人の子持ちのママ、Mさん。
こういうことはよくあるので、「また誰かが熱出したかな?」と、思っていました。

翌日「昨日はすいませんでした~」と出勤したMさん。
聞いて聞いて、と言うので何かと思ったら
「信じられないんですよ、うちのダンナ!!」から始まりました。

さて、何が信じられなかったのでしょう・・・?
すごい剣幕に、その場にいた私達は押されてしまいました。

Mさんは私と同じ看護師ですが、ご主人は生命保険の代理店を経営しています。
先代であるお父さんは事実上引退して会長となっているので、ご主人が社長。
つまり、Mさんは社長夫人です。

本当は会社の手伝いをするように言われているらしいのですが、Mさんは自分のキャリアを築きたいと、私と同じ病院に勤めています。
会社経営には全く口をはさまず、ご主事にお任せしています。

自分の給料から食費などを出す決まりにしてあるので、Mさんは自分の給与口座しか触りません。
ご主人が会社から自分に出している給料の額も知らないし、家にどのくらい預貯金があるのかも、会社の資産も知りません。

自分達がどういう生命保険に入っているのか、ご主人や会社に「もしも」のことがあったときに、どれくらいのお金が遺されるのかも全く知らないのです。
そんなに全てご主人任せにしていることも、私は怖い気もするのですが・・・。

そんなMさんのご主人、趣味はロードバイク。
私も車を手放してからロードバイクに乗っていますが、通勤で走る程度です。

必死になってこがなくても、軽く時速20㎞は出てしまいます。
私は意識して、あまり速度を上げないようにしています。
それは、私がただ移動手段としてロードバイクを使っているから。

しかし、Mさんのご主人はレースも出る本格派。
仕事のあとに「ちょっと行ってくる」と言って、50㎞走りに行ってしまうくらいの熱の入れようです。
それも、レースのためです。

そしてある日、事件が起きました。
レースで他の選手に巻き込まれて、落車してしまったのです。
救急搬送され、入院となりました。

自転車は無事でしたが、ご主人は鎖骨骨折という大けがを負ってしまったのです。
翌日手術を受け、1週間の入院が必要になりました。

冒頭でMさんが「お休みをください」と言ったのは、その手術の立ち会いのためだったようです。
そして、手術を終えたご主人と治療費について話をしていた時に発覚したのです。

Mさんの一家が、傷害保険どころか、生命保険に入っていないということに!!
( ゚Д゚)

Mさんから話を聞いた私もびっくりしました。
だって、保険代理店の社長ですよ!?
おまけに、危険なロードバイクやって、レースまで出ているんですよ!?

ロードバイクは、レースに出なくても事故を起こす可能性が、ママチャリとは比べようにならないくらいに高いのです。
身を守るものがないので、一度事故を起こすと大けがにつながります。

自転車も走行可の歩道もありますが、歩道を走ると歩行者やママチャリと接触して危険です。
自転車といえども死亡事故も起こります。

加害者になるのは嫌なので、ロードバイクは車道の左端(歩道側)を走るのが通常です。
でも、車道は自転車専用道でもない限りものすごく狭いし、嫌がらせに車が幅寄せして来たり、かなり危険です。

おまけに、ロードバイクのタイヤは非常に細く、ちょっとした溝にもはまってしまいます。
車道の左隅は、歩道との境目の段差や用水路のフタなど、凹凸がたくさんあります。
車におびえつつ、段差にタイヤがとられないように気をつけ・・・本当に危険と隣り合わせなんですね。

そんなロードバイクを趣味にしていて、レースにも出ている人なのに、傷害保険にすら入っていないなんて・・・。
レースに出ない私ですら入っているというのに。

自分の治療費は預貯金が十分にあるならいいとしても、仮に歩行者と接触して大きな怪我を負わせてしまったら、どうするつもりだったのでしょう?
ましてや死亡させてしまったら?

結局、怪我にも懲りずロードバイク(もちろんレース出場も)を辞めないというご主人に、Mさんは傷害保険に入るよう迫りました。
傷害保険は生命保険と違って、年間1~2万円で済むからです。

私が以前加入していた養老保険なら、今回のMさんのご主人の入院で、入院日額5000円×入院日数(7日)と、手術給付金10万円がもらえました。
単純計算で、13万5000円受け取れたことになります。

こちらの高収入男性の一家を襲ったピンチ(「“もしも”は突然やって来る!! 高収入夫妻を襲ったピンチ」~実際の生命保険関連の事例07~)の症例でも触れましたが、実は収入が多い人ほど、楽天的なんですね。
1か月待てばまた数十万入ってくると思うと、「もしも」とか「備え」、「リスク」という言葉を考えないのでしょうか?

家計管理や節約の情報を探すと、銀行員ほど住宅ローンを組まないし、保険会社の社員ほど共済程度の安い生命保険しか加入していない、という記事を見かけます。

Mさんのような子供を抱えた30代・40代の家庭は、教育費のこともあるし、無駄なものにお金を払いたくないというのはわかります。
でも、もし今回Mさんのご主人が頸椎損傷を起こして首から下が動かない、寝たきり状態になってしまったら、どうするつもりだったのでしょうか?

もしものことなんて縁起の悪いことは考えたくありませんけれど、奥さんに子供3人抱える父として、それから社員十数人を雇っている社長として、病気や怪我に対して何の備えもなかったという事実に、さすがに私もビックリしました。

今回の入院と手術に要した金額は、生命保険で補てんされる分がないので、高額療養費を請求することにしたMさん。
しっかり者で亭主関白な夫が、何の備えもしていなかったなんて、信じられないと激怒していました。
「私が洋服を買うと怒るクセに!!」と(;´∀`)

保険代理店経営者が保険に入らない、その理由は?

私は、あまりにも自分が生命保険やお金に対する知識がないことに気づき、ファイナンシャルプランナーの資格を取得して、お金の勉強をしました。
ある程度知識を付けたあと、家計から無駄なお金を取り去ろうと、セオリー通りに共済などの安い生命保険にしようかと、見直しを検討した時期がありました。

しかし、持病である喘息がネックになりました。
死亡保険に入る際、「削減特約」(「病気があると、生命保険の加入は不利!!」~実際の生命保険関連の事例09~)なるものを課されてしまう始末です。
よくある節約アドバイス、「生命保険は共済で十分!」にはのれませんでした。

Mさんのご主人は、まだ30代。
ロードバイクにも乗るし、健康そのもの。
タバコも吸いません。

だからこそ、今のうちに入っておけばいいのに・・・と思います。
私のように病気持ちになってしまったら、入るにも入れないし、保険料は高くなるし、挙句の果てに変な特約をつけられてしまうのですから。
しかし、Mさんの家庭では、結局安い傷害保険には入ったものの、現在も生命保険には入っていないそうです。

保険代理店経営者でも、生命保険に加入していないという事実。
これは、何を現していると思いますか?

裏を返すと、それだけ契約者の受ける恩恵より、保険会社の利益の方が高いということを意味していますよね。
本当におススメなら、保険代理店を経営する自分が一番に加入するはずですもの。
自分や社員の分だって、立派な契約実績になるのですから。

生命保険は、非常に奥が深くて難しいものです。
しかし、実際にそれで家計のリスクに備えることができるし、実際に助かる人もいます。
節約とリスクのバランスを、よく考える必要がありますね(*^-^*)