若いときの“もしも”は、備えが足りない!?
あたなが生命保険に加入するかどうか検討したのは、いつですか?
就職した年?
結婚した年?
子どもが産まれた年?
私自身は、就職1年目の終わりに母親に言われるがまま、養老保険に加入しました。
(それについては、私の恥ずかしい過去、「初めての妊娠・出産と保険」~実際の生命保険関連の事例01~をどうぞ)
出産に至るまでに切迫早産と過期産・帝王切開というトラブルがあり・・・入院治療を要したので、大変助かりました。
けれど、その保険がいつまでも自分にあっているものかどうか?
それはまた別の話。
私の保険は、35歳満期になっていました。
それって、持病があって(加入時にはなかった)定期通院が欠かせないのに、満期になってからで入れる保険があるのか?
もしあったとしても、今よりも高くなるんじゃない?
そう思った私は、車の任意保険の件でお世話になった保険屋さん(信頼できる保険屋さんとの付き合い方は、こちら「保険屋さんに聞く、保険業界の裏話」~実際の生命保険関連の事例06~でお伝えしました。)に相談しました。
それが、本当に将来を考えて入った初めての保険、ということになると思います。
自分が「親」という立場になったからこそ、子どものためにも“もしも”や将来に対する備えをするようになるのですよね。
私が遅かった?
いや、世間一般このようなもんかな、と思います。
保険の見直しも、結婚や出産といったライフイベントごとに行いますしね。
しかし、世の中には私の親なんかより、もっとお金に対する意識の高い家庭があります。
私も母親が「社会人になったんだから入っておきなさい」と言ってくれたことに、切迫早産で入院したときに感謝したものですが・・・その上を行くケースがあったのです。
30代の男性が、目の症状があって治療をすることになりました。
ちょっと複雑な病気だったので、大学病院に紹介されて精密検査を受けたところ、手術が必要となりました。
男性はIT企業に勤める役職の付いた身。
仕事が深夜まで及ぶことは決して珍しいことではありませんでしたが、おかげで年収はその年齢にしては高かったのです。
しかし、目に症状が出たためこれは仕事に支障が出る・・・とのことで受診。
そこで“もしも”の事態がやってきたのです。
30代前半で自分に“もしも”がやってくるとは、予想できません。
十分な貯蓄のある年齢でもなければ、マイホームに子どもに・・・とお金の出て行く世代。若いうちの病気は、備えが足りないことが多いものなのかもしれません。
健康に特に不安を抱くことのなかった夫婦は、生命保険にも入っていませんでした。
そう、“もしも”というのは突然やってきて、家計を襲うのです。
社会人の子どもに医療保険・・・母親の愛がピンチを救った
男性の眼は、完全とはいかないまでもできる限りの最善を尽くしてもらい、最終的には0.1にも満たない視力ながら、日常生活には支障のないレベルまで復活しました。
ただし、大学病院での手術待ちが1か月以上かかってしまい、職場復帰までは3か月以上要することになってしまいました。
最初は消化できずにたまっていた有給で対応したので、変わらない月給を受け取ることができました。
しかし、2か月目以降はそういうわけにいかず、全くの欠勤となってしまいました。
そこで男性は、傷病手当金をもらうことにしました。
会社員は健康保険から傷病手当金を受け取ることができるので、これが1つの“もしも”に対する大きな備えとなります。
自営業の人が入っている国民健康保険にはこの傷病手当金制度はありませんから、会社員というだけで受けられる恩恵なのです。
傷病手当金については全国健康保険協会のサイト、『病気やケガで会社を休んだとき』(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139)に詳しく載っていますので、参考にしてくださいね。
傷病手当金は、業務に関する労災ではない病気やケガのために連続して3日以上働けなかったときに、4日目の分から支給されます。
男性の場合も有給を使い切ったあと休業していた分の日数は欠勤となり、給与は発生しません。
この制度は非常にありがたいものなのですが、傷病手当金はそれまでの月給の満額がもらえる制度ではありません。
男性の月給からは大幅に少ない金額となってしまい、夫婦はその中で生活しなくてはならなくなったのです。
当時奥さんは専業主婦。
子どもはまだ幼稚園にも入れない未就園児。
お互いの実家からは離れた場所に住んでいたため、子どもを預けて奥さんがパートに出るということもできませんでした。
それに、病気療養中の夫を抱えていると、しょっちゅう病院に行かなくてはならないので、それまで家にいた奥さんは、働きに出るような精神的余裕もありませんでした。
年収の高い人にありがちなのですが、その夫婦は毎月の収入が高いからと、マイホームのローンを抱えながら車やパソコン・旅行と散財していたため、毎月給料日前の銀行残高はなんと、数万円・・・。
それでも翌月の給料日になればまた十分な金額が入ってくるので、生活に事欠くようなことはなかったのですね。
しかし、このような非常事態が起こってしまったら話は変わります。
いくら年収が高いといっても、翌月の給与が確実にもらえるという保証はないのです。
夫妻は途方にくれてしまいまいました。
しかし、マイホームも買ってしまったし、本当に元の職場に復帰できるのか・・・?
有給を使い切ったあとは、仮に職場復帰したとしても 通院のたびに欠勤よね・・・?
一度考え始めると、不安というのはどんどん頭の中で大きくなっていきます。
今後の生活に不安を抱いた奥さん、その不安をお義母さんにこぼしました。
少し援助してもらおうという思いもあったのかもしれません。
すると、天からの贈り物が!
「ああ、そういえば忘れてた。あの子の保険、払い済みにしてそのままにしてあったわ。」
さらりとお義母さんが言ったそうです。
そう、お義母さんは息子が身体を大事にするようなタイプではないうえ、ITという生活も不規則になりがちな職種を心配していたのです。
保険に入れといったところで絶対に入らないだろうと、自分が保険料を払っていたというのです。
そして、息子が結婚したときに「もう自分が面倒みることはない」と、それまでに支払った分の保険料を「払い済み」にして、契約を残しておいた・・・。
奥さんは、本当にそのお義母さんの頭の良さ、先見の明に感謝してもしきれなかったと言います。
いくら保険料の支払いを親がしていたとしても、加入する際には本人がサインをしたはずですが・・・社会人1年目のときのことで、本人も覚えていなかったのですね。
結果としては、頭のいいお義母さんの機転のおかげで、夫婦は手術給付金と入院給付金を受け取ることができ、なんとか休業中の収入減というピンチを乗り切ることができたのです。
旦那さんの家庭はもともと会社を経営していて、お金に困るということのなかった家庭です。
だからこそ、社会人の息子の保険を親が出すことを何の苦とも思わなかったし、結婚したときに払い済みにしただけで、解約して解約返戻金を受け取ろうなんて思わなかったのでしょう。
払い済み、というのは今まで払った保険料の範囲に保障額を下げるから、今後保険料の支払いはしませんよ、というものです。
つまり、解約返戻金は受け取らずに契約は一部内容を変更して続行、それでいて毎月の保険料の支払いはストップ、となっていたのです。
男性が大卒の23歳のときから32歳まで保険料を納めてあり、9年分の積立があったからこそ、そこそこの保障額を受け取ることができたのです。
入院給付金は日額1万円にも満たなかったでしょうけれど、手術給付金と合わせることで、傷病手当金だけでは不足する分をなんとか乗り切るだけの金額となりました。
本当に、持つべきは頭のいい親ですね。
こういう「払い済みにする」という方法を知らない人は、世の中大勢いますからね。
そして何より、親の愛って本当に有難いものですねぇ。
この話を聞いたとき、私は息子にどれだけのことができるのだろう・・・と考えてしまいました(>_<)
そして、少なくとも数か月分の生活防衛費は確保し、最低限の保障が受けられるだけの生命保険に入って置かなければ、と思ったのです。