コレステロールは、何が悪いの?
成人病が生活習慣病という呼び名に代わり、健康診断にも「生活習慣病健診」というものが出て来ました。
これは、私達がいかに生活習慣病を予防しなければならないか、ということの表れです。
成人したからなるのではなくて生活習慣によるものが原因、病気にかかってから治療するのではなくて健康診断を受けて予防しましょう、ということですね。
健康診断のメインは採血検査ですね。
コレステロールや中性脂肪、血糖、HbA1c、尿酸・・・いろいろな気になることでしょう。
どれも生活習慣病に関連するものですが、この項目で異常値が出るとどうなるか、わかっているようでわかっていないのではないでしょうか。
今回は、その中でもコレステロールに注目してみました。
コレステロールはよく耳にしますし、サラダ油などでも「コレステロール0」という表記を見かけたりします。
健康診断には必ず含まれている項目ですが、コレステロールって結局何でしょう?
この値が高いと、何が悪いのでしょうか。
脳梗塞とか心筋梗塞をイメージしますか?
正解です(*^-^*)
コレステロールが高いと、どうしてこれらの病気になってしまうのでしょうか。
キーワードは、「動脈硬化」・「粥腫」・「血栓」です。
脳梗塞も心筋梗塞も、そして心筋梗塞の一歩手前の段階である狭心症も、全て血管が詰まってしまう状態です。
なぜ詰まってしまうのでしょうか?
コレステロールと病気の関連については、国立循環器病研究センターの循環器病情報サービス[21] 動脈硬化で詳しく説明されています。
ちなみに、脂質異常症はコレステロールだけの問題ではありません。
脂質異常症については、同研究センターの[85]「脂質異常症」といわれたらを参照してください。
[21] 動脈硬化を読んでいただくとわかるのですが、血管が詰まる原因は
『血管の内腔に粥腫ができて血栓を作ったり、粥腫が破綻して出血すること』
です。
少し難しいですね。
上記の国立循環器病研究センターの『冠状動脈の硬化はこう進む』でわかりやすく図式化してくれていますので、そちらをよく読むと動脈硬化の進む様子がイメージできるかと思います。
この血栓や出血の原因となる粥腫の成分が、コレステロールなのです。
糖尿病や高血圧など血管そのものにダメージが加わって傷ついた状態にある人は、傷の修復のために血小板(血液を固める作用)が集まり、これにコレステロールが加わって粥腫とよばれる血管の内腔を塞ぐ物質を作り出してしまうのです。
だから粥腫の材料となってしまうコレステロールは、生活習慣病の敵なのです。
なんとなく悪いイメージしかなかったコレステロールのこと、少しずつわかってきたでしょうか。
コレステロールが高いと、どんな病気になるの?
コレステロールの高い人は、コレステロールだけが単独で高い人ばかりではありません。
脂肪に富んだ食事をしているので、糖尿病を併発している人も大勢います。
また、年齢を重ねると血管は硬くなっていくので、高血圧も困りものですね。
この【1】高コレステロール(脂質代謝異常)、【2】糖尿病、【3】高血圧の3つが重なると、病気のリスクがぐんと高くなります。
人間は、酸素がなければ生きていけません。
全身の細胞に酸素を送る役割を果たしているのが、血液です。
高コレステロールによって動脈硬化が進んで血液が流れなくなったら、その先に酸素は供給されません。
そこで、下のような病気を発症するのです。
<コレステロールが高いと起こる病気>
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 脳梗塞
- 閉塞性動脈硬化症
最後の閉塞性動脈硬化症は、足の末端に血液が流れなくなる病気です。
完全に壊死してしまった場合には、下肢を切断しなければなりません。
切断の範囲によっては義足を必要としたり、自力歩行ができなくなって寝たきりになってしまうケースもあります。
壊死部からの感染によって、敗血症性ショックを起こして亡くなることもあります。
コレステロールが高いことで引き起こされる病気は、どれも命に関わるものですね。
つまり、血液が流れないということは細胞が維持できないので、全身のどこで閉塞を起こしてもおかしくないということです。
中でも心臓を栄養する冠動脈が閉塞してしまった場合は、発症とほぼ同時に亡くなることも少なくありません。
だからコレステロールが高い人は、保険加入が厳しい
コレステロールが高いということが、どれだけ身体にとって怖いことかわかりましたね。
生死に関わる問題であり、介護に関わる問題であり、そしてお金の問題(失業の可能性もある)でもあります。
あなたが高コレステロールによって、何かしらの病気を発症してしまったとしましょう。
もし生命保険に加入していて亡くなった場合は死亡保険金を請求するでしょうし、医療保険に加入していれば入院給付金や手術給付金を請求するでしょう。
片麻痺などの後遺症や下肢の切断によって仕事ができなくなれば、収入保障保険の支払い対象にもなるでしょう。
このように、コレステロールの高い人が何かしらの病気を発症した場合、生命保険会社が保険金や各種給付金を支払わなければならない状態になる可能性がとても高いのです。
生命保険会社からすると、「保険金や各種給付金を支払う可能性の高い人=リスクの高い人」です。
そのために、新規加入時には健康診断の結果の提出を求められ、厳しいチェックがかかるのです。
コレステロールが高いのは、生活習慣のせいだけじゃない!?
飽食で車社会の現代。
運動する機会が少ない上に食事に困ることが少ないので、普通に暮らしているとそれだけでコレステロールは上がってしまいます。
むしろ、最近では貧困層の方が安くておなかにたまる食べ物として菓子パンやファストフードなどを選択してしまうため、生活習慣病にかかりやすくなっているのです。
野菜が多くて栄養バランスのとれた食品は、ジャンクフードより高くついてしまうからです。
意識して運動したり食べるものをセーブしなければ、基礎代謝の落ちる中年以降ではコレステロールや中性脂肪、血糖が上がるのは当然です。
しかし、コレステロールが上がるのは加齢と生活習慣のせいだけではありません。
遺伝が関与します。
女性に多いのですが、コレステロールがなぜか家族性に高くなってしまう人がいます。
20代の頃から、健康診断でコレステロールが異常値で「要受診」となってしまう人もいます。
もちろん、これらの遺伝性の方も生活習慣に注意する必要があります。
それでさえ高くなりがちな素因に加えて食事を節制しなければ、簡単に粥腫を作ってしまいますからね。
逆に、努力していたら病気を防げるのかというと、残念ながらそうでもありません。
生活習慣に起因する高コレステロールも、遺伝による高コレステロールも、体の中で起こることは一緒です。
どこかの血管が詰まってしまうということ。
そのために、若いうちから薬が必要になることもあります。
コレステロールの高い理由が違っても、病気になったら生命保険のお世話になるのはどちらも同じ。
保険会社からすると、保険金を支払わなければならない対象です。
遺伝した体質のせいであっても、健康診断でコレステロールにチェックがついてしまった人が生命保険の新規加入が難しくなってしまうのも、納得できます。
仮に加入できても、条件を付けられてしまうケースが多いですね。
ここで考えてみてください。
保険金や各種給付金・年金を受け取ることがゴールで、望ましいことなのでしょうか。
いいえ、違いますね。
健康寿命を長くすることですよね。
もしあなたが、異常値のついた健康診断の結果を手にしてこの記事を読んでくださっているのであれば、生命保険の加入をあきらめるのではなくて、それだけ自分の身体はリスクが高い状態であるということを認識してください。
リスクの高いことを受け入れ、生活習慣を改善して病気が予防できたらよいではないですか。
もしものときの貯蓄に励み、浪費がなくなるかもしれません。
そして、本当に食事や運動を頑張ってコレステロールが正常値に戻ったら・・・そのときは、すんなり生命保険に加入できるかもしれませんよ(*^-^*)