「脂肪肝」は肝臓に関わるあらゆる病気の前兆

脂肪肝

当たり前の生活をしていても太っていく・・・加齢による変化は避けられない!!

人間は、生きている限り刻一刻と年齢を重ねています。
この瞬間がこれからの人生で一番若いし、次の瞬間「今」は過去となります。
そして、年を経ると人間の体は若い頃と同じことができなくなります。

あなたは10代や20代の頃と比べて、加齢の変化を感じるときはありませんか?
私は、この加齢による身体の変化を日々感じています。
昔はいくら食べても一定以上には太らなかった体重が、気を抜くとあっという間に増えていきます。

特別に暴飲暴食をしているなんてことはありません。
むしろ、仕事中は立ち仕事ですから動きまわってばかりです。
それでも、気づくと体重が増えている・・・。
なぜでしょうか?

それもそのはず、人間は年を経ると基礎代謝量が落ちてしまうから。
基礎代謝というのは、ただ寝ているだけでも消費してくれるエネルギーのことです。
基礎代謝量は、個々の年齢や身長・体重、活動量などによって違います。

単純に計算すると、この基礎代謝量より多いエネルギー量を口から摂取しなければ、体重は増えせん。
昨今は食べものの多くにエネルギー量(カロリー)が記載されているので、おおよその摂取量を計算することは簡単です。
しかし、消費している分のカロリーを計算したことはありますか?

では、自分の基礎代謝量がどのくらいあるのか調べてみましょう。

基礎代謝
(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット 加齢とエネルギー代謝 より)

これは、ごく一般的な体格と運動量の場合です。
ちなみに、私は表にある基準体重よりも多いので自分で計算しないとならないのですが、基礎代謝基準値 × 体重 ≒ 1300kcal
でした。

ふーむ。
思ったよりもかなり少ないですね。

私の場合は通勤に自転車を使っているし仕事もずっと動き回っているので、もう少し消費しているエネルギーは高いと思います。
でも、ちょっと気を抜いてスイーツなどを食べたらオーバーするんだろうなあという危機感を抱きました・・・。

上の表によると、30~40代女性の基礎代謝は、21.7kcal/kg/日。
一方で、9歳のサッカー少年である息子は、40.8 kcal/kg/日。
二倍近い消費量です。
この差は大きいですねぇ。

どうりで、小さな体の割にどんぶりでご飯を食べても太らないわけです・・・。
うらやましいかぎりですが、これが若さってやつですね。

こうして数値としてみると、やはり年をとることで太りやすくなっていくことがお分かりいただけたと思います。
仮に同じ質と量の食事をしていても、年をとるだけで太ってしまうということです。

基礎代謝で消費しきれないほどのエネルギーを摂取した場合、単純に体重が増えて外見上は肥満体になります。
いわゆるメタボですね。
しかし、最近問題になっているのはおなか周りの肉ではなく、目に見えない脂肪肝です。

本来消費されるハズの脂質や糖質が肝臓に蓄積することにより、こってりと脂がのったフォアグラのような状態になることを、脂肪肝といいます。
(脂肪肝については、澤井製薬の本当はコワイ脂肪肝をどうぞ。)
近年、この脂肪肝が肝硬変や肝臓がんへ進行すると言われるようになり、その危険性が指摘されるようになりました。

加齢による基礎代謝の低下に気づかずに食べたいものを食べ、いつの間にか脂肪肝を通り越して肝硬変になっていた・・・なんてことも⁉
今回は、この脂肪肝と生命保険の関係について考えていきたいと思います。



脂肪肝で、生命保険に加入できますか?

脂肪肝は、それだけではまだ病気ではありません
まだ肝臓の機能が保たれているので。

ただ、肝臓は沈黙の臓器と言われます。
ですから、本当はダメージを受けているのにそれに気づかずに脂肪肝の原因である生活習慣を変えずにいたら、肝硬変や肝臓癌に進行してしまう可能性が高くなるということです。

生命保険会社は、保険金や各種給付金として払うリスクの高い契約者を、リスクが高いと判断します。
ですから、持病のある場合はそれに付随して様々な病気を発症する可能性があるので、通常の医療保険や死亡保険には加入できないのです。

私の場合は喘息という持病があるため、病気があると、生命保険の加入は不利!!でお伝えしたように、契約後3年は満額の死亡保障が受けられないという条件を付けられました。
これは、それだけ喘息が入院や死亡のリスクが高いと判断されたということです。
オリンピックに出ているトップアスリートだって、喘息の人はいるのになぁ・・・。

喘息は、気管支の炎症を繰り返して内腔が狭くなるという状態を既に起こしているため、新規契約時に条件をつけられても仕方ありません。
この気管支の肥厚をリモデリングといい、いくら治療をしてもリモデリングは治すことができません。

しかし、脂肪肝はまだ完全に病気の状態ではありません。
いうなれば肝臓に関わる病気全般の一歩手前というところですね。
ただし、繰り返しますが肝硬変や肝臓がんへの関与が言われているので、告知は必要です。

何度か取り上げていますが、告知義務違反とは、加入時に病気があることを(故意かどうか関係なく)申告せずに加入してしまうものです。
契約後2年間にわたって黙っていられればセーフ!!という人もいますが・・・実はこれ、間違いです

本当に2年以内に自分が生命保険のお世話にならないとはいいきれませんし、2年を経過したあとでも生命保険会社は契約を解除することだってできるのです。
告知義務違反の時効問題については、日本経済新聞の告知義務違反をしても2年経てば大丈夫ってホント?でも取り上げていますね。

現実問題、脂肪肝だけで生命保険に入れないということはありません。
多少金額が変わることや部位別不担保がつくなど、引き受け基準緩和型商品になってしまうこともあるかもしれませんけれど。

また、最初から無制限型にすれば問題ないのでは?と思うかもしれませんが・・・それはあまりお勧めしません。
糖尿病のように、全身の血管を侵すような病気ではない脂肪肝の状態で、最初から無制限型にするのはもったいないですね。

生命保険会社によっては、健康診断の数値を申告するだけでOKという場合もありますし、引き受け基準緩和型商品となることもあります。
しかし、脂肪肝だけで無制限型にまで幅を広げる必要はないでしょう。

毎月の金額が1000円違うだけでも、1年で1万2000円、10年で12万円の差です。
無制限型となると、1000円の差では済まないでしょう。
月3000円の差なら10年で36万円にもなり、ボーナス1回分に相当するわ・・・ということにも。

毎月スーパーで買う食材を数百円・数十円単位で節約するよりも、生命保険加入時の1000円にこだわる方が、よほど節約効果は高いのです。
身体が必要としない過剰な食べ物(←これがそもそもムダ使いです)を辞めて脂肪肝を治せば、保険料は格段に安くなるのです。

脂肪肝は、生活習慣の結果です

仮にあなたが健康診断などで脂肪肝と指摘されて、医療機関を受診したとしましょう。
その場合、いきなり投薬治療を受けるわけではなく、まずは生活習慣を正すことを勧められるはずです。
極端に肝機能(GOT、GPT、γ‐GTP)やコレステロール・中性脂肪が高くなければ、まずは薬に頼らずに自力で改善することも可能だからです。

そもそも、過剰に食事を摂った挙句に薬でなんとかしよう・・・というのは、ちょっと考えもの。
本来自分で治せるはずなのに薬を飲めばいいと思っているケース、結構多いのです。

糖尿病とわかっていても薬があるからいいと食べたいものを食べ続け、結局インスリンに依存し、最終的には腎不全で人工透析を導入するケースは、後を絶ちません。
でも、人工透析をしたところで身体中の血管が傷んでいるのは変わりませんから、いつ心筋梗塞や脳梗塞で亡くなってもおかしくないんですね。
それでも、目に見えないから「食欲」という欲望を優先してしまうのです

身長と体重がほぼ同じ私の姉は、完璧なインドア派です。
運動は嫌いで、仕事もパソコン作業だけなので座りっぱなし。
悩みは事務仕事でガチガチに固まった慢性的な肩こりと、同じ態勢で座っていることによる足のむくみ。

一方、私は外来看護師という仕事柄、座っていられるのは患者さんに検査の説明をするときだけ。
通勤も自転車(雨なら駅まで歩き)ですし、ランニングとロードバイクも生活の中に自然に溶け込んでいます。
ここ数年は親子でマラソン大会に出場することも、我が家の恒例行事となりました。

このライフスタイルの差は、体脂肪と体形にはっきり出ています。
体重が同じでも、筋肉量が違うので見た目が全く違います。

たかが生活習慣、されど生活習慣。
なぜ私が運動ばかりかというと、1つは車を持っていないから。
すると、必然的に自転車と歩きで移動する機会が増えます。

一方で姉は、どこに行くにも車です。
田舎暮らしでは車で「ドアtoドア」が当たり前ですから、むしろ車を手放した私が珍しいのですけれど。
動くことに抵抗がないので、運動も苦になりません。
こんな具合に、私は車に乗らない分、自然に運動のループにはまっているのです。

また、30代・40代にもなると若い頃よりもおいしいものを食べたり、晩酌という習慣が定着してくる人が増えてきます。
毎日夜、仕事から帰って缶ビール2本という習慣の人がいたとしましょう。
ビールのおつまみに、スナック菓子も食べます。
これがつもりにつもると・・・どうなるか想像できますね?

20代や30代前半のうちは、まだ血液検査にも体形にも表れないかもしれません。
しかし、40代や50代になってくるとじわじわと出てきます。
早ければ、30代後半でおなか周りのお肉に気づくことでしょう。

20年続いたビール+スナック菓子の習慣を辞めるのは、とても大変なことです。
飲酒習慣のない(弱くて飲めないだけですが)私からすると、毎日お酒を飲むなんてありえません。

飲酒習慣もないし外食もめったにしない私の肝機能、実はGOT・GPTが毎年1ケタです。
健診結果にはLOWという意味の「L」が付きますが、肝機能というのは肝臓がダメージを受けた値を示しているので、低くても困ることはありません。
体質もあるでしょうけれど、私には上がる要素がないので当然といえば当然ですよね。

タバコも同じです。
辞められない人にとっては1日10本・20本は当たり前ですが、喘息患者の身で喫煙が習慣になることもありえません(発作が出ます)。

飲酒も喫煙も、1日や2日でどうにかなるものではありません。
何か月・何年と積み重なった結果です。
生活習慣というのは、本当に怖いものですね。

脂肪肝が怖い、本当の理由

ここまで、脂肪肝が肝硬変や肝臓がんに進行することがあるために予防すべきだ、ということをお伝えしてきました。
実は最近脂肪肝が注目されている理由は、他にもあるのです。

肝臓は解毒機能を担っている場所なので、お酒を飲み過ぎると肝臓が耐えきれなくなって肝硬変を起こすことは、昔から知られていました。
ところが最近、お酒を飲まないのに肝硬変や肝臓に炎症を起こす人が増えているのです。

脂肪肝は主に、お酒に関与するアルコール性脂肪肝と、食べ過ぎによる非アルコール性脂肪肝(NAFL)に大別されます。
この非アルコール性脂肪肝の人のうち、肝機能の異常が更に進行して肝細胞に炎症が起きてしまう人がいるのです。
(参考:NIKKEI STYLE 肥満じゃないのに… まさか私が脂肪肝!?

現場での感覚としては、アルコール性肝硬変の場合はいかにもというのん兵衛の人だったりするのですが、非アルコール性の場合は、この人が!?と思うような、ごくごくフツーのおばさまに多い印象を受けます。

肝臓は沈黙の臓器です。
そして、沈黙を破ったときは命に関わるときです。

肝心要という言葉を、私達は日常使うことがあると思います。
それだけ、心臓と同じくらいに肝臓が重要ということ。
「肝腎」と書くこともありますよね。
肝臓も腎臓も、機能しない状態を起こす不全状態に陥り「肝不全」「腎不全」になると、数日の命です。

特に肝臓は、腎臓と違って人工透析で命の危機を回避することができません。
それだけに、肝不全に陥ったときは非常に危険なのです。

たかが生活習慣。
たかが食べ過ぎ。
たかが脂肪肝。

でも、もし肝臓が悲鳴をあげたとき・・・それは、命の危険がせまっているサインです。

肝臓と言えば黄疸?
いいえ、黄疸が出てからでは遅いんですよ。

今回は、生活習慣と脂肪肝についてお伝えしました。
肝臓は「痛い」と言ってくれませんので、自分で気付くことは難しいでしょう。
だからこそ、健康診断や人間ドックで定期的にチェックしておいて欲しいのです。
そして、生命保険加入時には、結果を隠さず伝えておくことをお忘れなく