看護師のシングルマザーは、損ですか!?
シングルマザーとは、
『法的な婚姻関係になく子供を生んだ女性(未婚の母),あるいは離婚や別居して子供を養育している母親。』 (ブリタニカ国際大百科事典より)
のことです。
離婚した母親は「バツイチママ」とも呼ばれますね。
看護師は独身時代から給料が年齢の割に高いので、比較的この道を選択する人が多いですね。
私の職場にも未婚の母はいますし、私同様のバツイチママとなるとゴロゴロいます。
子どもの小学校でもクラスに何人もシングル家庭の子がいるので、とりたてて肩身の狭い思いはしていないようです。
何より、私達は専門職に就く身であり、自立した女性です。
夫に文句を言いながら食べさせてもらっているよりも、よほど誇らしいと思っているのでは?
世間一般の抱えるイメージとは違い、看護師のバツイチママ達は自分のことを「バツ」と思っておらず、前向きでエネルギッシュに生きています。
さて、決して珍しくもなんともない看護師のシングルマザーは、元夫との関係が二つのタイプに分かれる傾向があります。
1.全く連絡をとらない(養育費も一切受け取らない)
2.あっさりとした付き合いを続ける(養育費もくれればもらう)
子どもの養育費は、夫よりも稼いでいる現役ナースは大した金額にならない・・・というのが実状です。
家庭裁判所などで養育費の額を決める時にも夫と妻の年収で決めるそうなので、裁判をしてもいいことはないなあと思ったものです。
私自身も離婚の際に計算してみたところ、当時の保育料が月6万4000円もかかっていて、それにプラスして衣類やオムツなどの雑費、子ども保険の保険料などを計算しても、夫の養育費割合は月3万円ほどにしかなりませんでした。
離婚する前に正規職員で働いていたから、こうなってしまうんですね・・・なんか損した気分!?でした。
それなら、ぐちゃぐちゃ言われて月に数万円もらうより自分で稼いでやる!と、多くの看護師が思うのでしょうねぇ。
もともと離婚前から金銭的に妻に頼りきっている夫も多く、「縁が切れただけで万々歳」という人も多いのです。
だからこそ、私は<【既婚で子どもいない:パターン3】夫が専業主夫>でもお伝えした通り、子どもがいないのに働かない理由をよく見極めて欲しいなぁと思うわけです。
養育費の問題だけではありません。
母子家庭に対する政策は年々拡大されているのですが、実は看護師が受けられる制度はほとんどありません。
なぜかって?ブラック企業に勤める若者よりも、よほど給料も待遇もよいからです。
厚労省ホームページひとり親家庭等の支援についてによると、
<母子家庭を支える政策>
- 子育て、生活支援
- 就業支援
- 養育費確保支援
- 経済的支援
の4本柱のようです。
中でもメインとなるのは、金銭に直結した「児童扶養手当」「医療費補助」になるのですが、正規職員の看護師として働いていれば、まずこれらは受け取れません。
パート勤務でボーナスのない場合すら、恐らく受給できるラインに達しないでしょう。
離婚を機に現場復帰した場合には、最初の1年だけは算定する収入がゼロだから受け取れるでしょうけれど、翌年はパタッと切れてしまうことを覚悟しなくてはなりません。
手に職のある女性、だからこそ公的支援が頼れない・・・。
毎日疲労困憊で子供と接する時間がろくにない現状でも、やらなければならないから歯を食いしばっているのに。
それが、シングルマザーの看護師なのです。
公的支援に頼れないシングルマザー看護師の現状
看護師は、条件をつけなければ就職先が見つからないということはまずありません。
どの医療機関も、老人保健施設も、デイサービスも、看護師が余っているということはありませんから。
40歳だろうと50歳だろうと仕事を選べるというのは、とても有難いことです。
確かに他の業種よりも収入の高い看護師ですが、<【既婚で子どもいない:パターン1】共働きで夫よりも収入が多い(自分が一家の大黒柱)>でお伝えしたように、看護師の給料は『〈1〉フルタイム勤務 〈2〉子供なし〈3〉残業・夜勤可の条件がそろっているとき』が一番高くなります。
仮に離婚前まで〈1〉と〈3〉をこなしていたとしても、これからもできるとは限りません。
まず、夫という協力者がいません。
(それまで協力してくれていたら、離婚はしないでしょうけれど・・・)
必然的に、夫の両親もいません。
となると、自分が働きに行っている間の子どもの世話は、保育園か実家に頼ることになります。
私自身も実家の母親には全面協力を仰ぎましたし、そのために自宅マンションを処分して実家の近くへ引っ越しました。
更に、姉の助けも借りています。
将来的な年金問題も含めて福利厚生などを考えると、シングルマザーは正規職員として働くのが望ましいですね。
しかし、正規職員になると研修や委員会、会議・・・ある程度経験年数のある看護師は、いくらシングルマザーであっても、これらを免除してもらえるとは限りません。
保育園に預けていても、残業があるとお迎えに間に合わなくなります。
しかし、残業免除してくれなんて言いだせない・・・。
保育園以外にどれだけ子育てを助けてくれる存在がいるかで、働き方はかわります。
職場の理解や勤務条件にもよりますが、もし助けてくれる人がいない場合、正規職員ではなくてパートにならざるをえない場合もあります。
子どもが熱を出すたびに休みをもらわなければならない・残業ができないとなると、正規では働きにくくなるからです。
そうなると、看護師だからといって高給とりではなくなります。
離婚前の収入を維持できなくなるかもしれません。
かといって、児童扶養手当や医療費補助をもらえるほど少なくはないので、グレーゾーンにはまってしまうのです。
社会的には立場の確立している看護師であっても、1人で子どもを育てるということは非常に心細く、実は不安でいっぱいなのです。
社会が助けてくれないなら、活用できるものはとことん利用しよう
こんな具合で、前向きに(強気で)離婚したはずの看護師のシングルマザーも、本音はとても不安。
この先ずっと正規職員として働き続け、子どもの教育費と自分の老後資金まで貯められるだろうか・・・と。
<【独身:パターン2】現在は独身、将来は結婚を考えている>でお伝えした通りに、私達女性は30代の10年間は厄年ばかり。
そこに離婚という要素が加わったら、本当にどうなるかわかりません。
加えて、<【既婚で子どもがいる:パターン3】夫が専業主夫>でお伝えしたように、女性は働き盛りに病気にかかりやすいという悲しいデータもあります。
子どもが成人するまで、自分が病気にかからず働き続けられる保証はありません。
事実、私は持病の悪化で正規職員としての役割を全うするのが辛くなり、30代にしてパート勤務へとダウンシフトしました。
では、これからシングルマザーになろうとしている人、もしくは今シングルマザーでこれから先のリスクにどう備えたらよいかわからないという人は、どうしたらよいでしょうか?
<シングルマザーの看護師は、将来のリスクにこう備える!>
【1】使えるものは使い、頼れるものは頼りましょう
【2】緊急時用の生活費を最低6か月分確保する
【3】応用の利く保険商品を活用する
正解はありませんし、価値観にもよっても違いますが、私の提案はこの3つです。
まず、【1】の「使えるもの」と「頼れるもの」を徹底的に使うことです。
これは人・物・お金に関すること全てです。
例えば、協力してくれる実家の親に兄弟姉妹、それからママ友は心強い存在です。
ママ友同士でまわしてもらえるものがあれば、子ども服や学用品のおさがりをいただきます。
お金に関する制度としては、医療費が高くついた年は(医療費補助は受けられなくても)翌年に確定申告をすると、少しですが税金が安くなります。
別れた夫も使ってしまいましょう。
ただし、最低限の子どもを介した付き合いは続けられるくらいの段階でサクッと後腐れなく別れておくのが前提です。
恥ずかしながら、私は離婚家庭で育てられた子どもと自身も離婚するという両方の立場を経験しました。
子どもにとって一番辛いことは離れ離れに暮らすことよりも、祖父母も含めて両親がお互いの悪口を子どもの前で言うことです。
私自身も、別れた夫とはラインでの最低限のやり取りはしています。
一緒に出かけることはありませんが、向こうから休みがとれたと連絡があったときには、「どうぞ、どうぞ」と子どもを元夫のところに送り出しています。
そうすることで、子どもは私の顔色をうかがうこともなく父親と過ごせるし、私が連れて行ってあげられない場所にも遊びに行くことができます。
おかげで、私はレジャー費をかけずに済んでいます。
結婚生活を送っていたときはほとんど家事育児をしていなかった元夫ですが、別れたあとの面会日は子どもに丸1日付き合ってくれるので、実は子供にとっての満足度も高いのです。
(子どもの寝顔しか見ていないお父さんって、世の中大勢いるでしょう?)
このくらいの関係を維持できると、仮に月数万円であったとしても、養育費の支払いも滞りません。
月3万円でも小学校6年間では216万円、塵も積もれば・・・というやつです。
下手な意地を張らずに、会いたいときは会わせてあげて、養育費はありがたく頂きますともらっておく。
元夫から受けられる恩恵も最大限に享受しましょう。
生活防衛資金を貯めよう!
次に、「【2】緊急時用の生活費を最低6か月分確保する」について考えてみましょう。
元夫からの養育費などは、いつまで続くかわからない不安定なものです。
有難くもらえる間はもらっておきますが、もし滞ったとしても慌てなくてもよいように備えておきましょう。
では、シングルマザーの看護師はどんな方法で将来に備えたらよいでしょうか?
看護師は、一か月の給料が比較的高額です。
正規職員なら、ボーナスも年間数十万円はもらえるでしょう。
子供が小さいうちは、教育費が少なくて済みます。
保育料はシングルマザーになると少し安くなりますし、小学校に入ると更に安くなるのでここが貯め時。
まず、【2】緊急時用の生活費を最低6か月分確保することを目標にしましょう。
例えば、毎月の手取りが25万円だとして、目標貯蓄額を150万円とします。
これだけ余裕資金があると、
- 突然の病気による入院治療や退職
- 転職したときのつなぎ
- 急な家電や冠婚葬祭などの臨時出費
- 車検などの数年に1回の出費
- その他急な事情による現金支出
に対応できます。
転職した場合は、最初の月は給料がありません。
翌月の給料日に、最初の月の分の給料がもらえるからです。
ですから、最初の給料をもらうまでの期間も考慮して備える必要があります。
また、賃貸ならお風呂の故障などは自己負担する必要はありませんが、いきなり洗濯機や冷蔵庫などの大型家電が壊れた場合は、否応なく買わなくてはなりません。
現金があれば、クレジットカードのリボ払いやキャッシングなどに頼らずに済みます。
いつ、どんなことで現金が必要になるかわかりませんから、生活防衛資金として概ね6か月をメドに貯蓄しておくと安心です。
頼れる人が少ないという立場を考え、できるだけの備えを自分自身でしておきましょう。
子どものための備えは「子ども保険」という常識を捨てよう
そして最後に考えて欲しいのが、【3】応用の利く保険商品の検討です。
生命保険は死亡保険に医療保険・収入保障保険・子ども保険・介護保険・個人年金保険・・・とさまざまな商品がありますが、シングルマザーの場合は応用の利くもので備えておくと、不安が少し軽くなるでしょう。
もしあなたが死亡したら、確実に子どもは遺族年金を受け取ることができます。
実家や兄弟姉妹に頼めば、これで生活することはなんとかできるでしょう。
しかし、大学進学費用までは足りません。
そこで、死亡保険をかけておきます。
世間一般は死亡保険の保険金は葬式費用と考えるかもしれませんが、葬式などはできるだけ簡素にしてもらい、実家のお墓に入れてもらいます。
遺したお金は全て子どものために使って欲しいと、常日頃から家族へ伝えておきましょう。
しかし、自分が生きているのにお金に困った事態が来たらどうしましょう?
医療保険は特定の病気や手術、入院治療を受けなくては受け取ることができません。
介護保険や個人年金などはまだ先の話です。
こども保険は、決まった年にお祝い金として受け取ることができる仕組みです。
収入保障保険は欲しいときに保険金を受け取れるとは限りませんし、掛け捨てでも他の商品に比べて保険料が高額です。
また、生命保険は途中で解約することは可能ですが、元本割れになることがほとんど。
できるだけ子どもが小さくて教育費負担の少ないうちに、地盤を固めておきたいところ。
そこで、私はこの先なんとしてでも10年は頑張ろう!と心に決め、10年満期の死亡保険を契約しました。
10年というのは、ちょうど子どもの中学3年の年です。
もし高校が私立になってしまった場合なども考えると、貯める余裕がないかもしれないと考えたのです。
定期積立にかけられる予算を、わざと2つの保険に分けて契約しました。
もし何かしらの理由でお金が必要になったとき、片方だけ解約して残りを生かしておくことができます。
こども保険と違って、解約する必要がなければそのままかけておけばいいし、その間も利息がつきます。
私が入っている保険はドル積立なので、リスクの伴う分利率がこども保険よりも高くなっています。
自分でドル安のレートになったときを見計らって解約することができれば、払い込んだ金額よりも高くなる可能性(あくまでも可能性です)があります。
使いようによっては、解約返戻金を子どもの教育資金にしてもよいし、老後資金にしてもいいのです。
シングルマザーはどうしても、「子どものためのお金」を用意しようと考えがち。
しかし、「子ども用の保険といったら子ども保険」と常識にとらわれず、何にでも応用の利く商品で備えておくと少しリスクが下がるでしょう。
基本となる死亡保険に10年満期の保険、更に6か月分の生活費を貯めようとすると、月の収入のうちかなりの額を「もしもの備え」にまわすことになります。
余裕があれば、老後資金として投資信託も検討したいところです。
他の職種では毎月を暮らすのが精いっぱいだと思います。
これは、看護師という仕事に就くシングルマザーだからこそできることです。
こどもの小さいうちにもしもの備えの「種」を捲いておき、日々の生活は贅沢にしないこと。
生命保険をうまく使って、強制的に貯めておくのです。
そして大切なのは、自分を追い込みすぎないこと。
自分が働かなければ、自分が稼がなくては、1人で子どもを守らなければとストイックになり過ぎても、息が切れてしまいますからね。
シングルマザーなのに、なかなか社会の恩恵を受けられない私達。
でも、備えるべきことをしておけば、シングルだけど明るく楽しい前向きな人生を歩むことができますよ(*^-^*)