長生きリスクより怖いのは?~親が子供の介護をする時代の到来~
日本の高齢化は進み、平均寿命は厚労省の統計によると、
『平成27 年簡易生命表によると、男の平均寿命は80.79 年、女の平均寿命は87.05 年となり前年と比較して男は0.29 年、女は0.22 年上回っている。』
そうです。
そして、「長生きリスク」という言葉も、生命保険業界でよく耳にするようになりました。
それまでは一家の大黒柱が早く亡くなることに対するリスクが主だったのに、長く生きること
がリスクになってしまったのです。
国の年金だけではあてにならず、民間の生命保険各社から個人年金も商品化されるようになり
ました。(個人年金については、個人年金保険の基本を理解しよう!で詳しくお伝えしていま
す。)
実は、この長生きリスクよりももっと深刻な問題を抱えるケースが増えてきているのをご存じでしょうか?
それは、「親が子供を介護する」ことです。
これまでも、小児麻痺などの障害を抱える子供を、成人した後も高齢の両親が介護し続ける問
題はありました。
小児麻痺の子供を抱えた親は、年数をかけて少しずつ現実を受け止めていきます。
段階的に家のリフォームもして、なんとか要介護状態にある子供と一緒に暮らす方法を必死で考えます。
ところが、60~70歳になった時にいきなり子供の介護をすることになったとしたら、どうなるでしょうか?
少子高齢化の現代の裏には、晩婚化があります。
30代・40代でも独身でいることは、当たり前の時代です。
大学を卒業してから家を出た息子が一人暮らしをしてバリバリ働き、40代の働き盛りを迎える。
婚期を逃し、仕事に追われるうちに食生活は乱れてコンビニや外食で3食済ますようになり、運動もしなくなる・・・。
ストレスの溜まる仕事に追われ、外食・飲酒・喫煙機会が増えるのに運動は全くしない。
この生活を続けると、どうなるでしょうか?
待っているのは、生活習慣病です。
生活習慣病というと、糖尿病を思い浮かべる人も多いと思います。
糖尿病はじわじわと進む間に健康診断で指摘を受け、そこで気を締めてリセットすれば大きな障害を抱えずに一生を終えることも可能です。
しかし、突然の発症と同時に寝たきり生活、要介護生活となる病気があります。
それが、脳梗塞です。
脳梗塞の発症原因には不整脈や体質によるものもあり、全てが不摂生のせいではありません。
しかし、生活習慣病である脂質代謝異常(高コレステロール血症)や糖尿病・高血圧が起因となって発症するケースの方が、断然多いのです。
定年退職を迎え、これから自分の老後をどう過ごそうか。
子供に介護してもらわなくてすむように、健康で長生きするためにはどうしたらいいだろう?
そんな風に努力している親の前に子供の方がある日突然、脳梗塞で倒れてしまうケースもあるのです。
若いからこそ、健康には無頓着
誰しもそうだと思いますが、健康は若者の特権で、特別「気をつけなくてはいけない」というものではないと思います。
私自身は就職と同時に喘息を発症し、新人時代に肺炎を起こして戦線離脱するということを経験したおかげで、将来の健康リスクをとても強く感じて来ました。
だからこそ、食べたいだけ食べる生活はしていませんし、体調のよいときには運動をしています。
むしろ、病気のおかげで定期的に運動をする習慣が身についたと思います。
脳梗塞が悪い生活の習慣化した結果だとしたら、運動習慣も身に付いてしまえば健康という結果を生みます。
体調不良や天候によって身体を動かせない日が続くと、私はものすごくストレスを感じてしまうくらいです。
しかし、私のようなケースはある意味まれでしょう。
20代の一番楽しい時期に、病気のことを考える若者なんてまずいません。
ですから、健康な30代・40代の男性が食べたいものを健康のためにセーブするというのは、努力なしにできることではないのです。
それでも、会社の健康診断で引っかかれば病院を受診します。
家族のいる人も、もし自分が倒れたら・・・ということを考えるようになるので、守りに入ります。
ところが、独身の30~40代男性ほど食事は自炊しないし、仕事中心の生活で睡眠不足に運動不足を重ねます。
一生結婚するつもりがないわけではなく、今が忙しいし楽しい、1人自由な身でいることが気楽。
まだ病気になるような年でもないし、困っている症状もない。
健康診断で異常を指摘されても後伸ばしにして、受診しない。
そういう「昨日までは元気な人」こそが、ある日突然脳梗塞を発症してしまったりするのです。
もしもに対して、一番必要なことは何か?
当サイトは生命保険について扱っていますが、誤解しないでくださいね。
脳梗塞はいつ起こるかわからない・・・だから生命保険の加入を!
という話ではありません。
確かに、生命保険で助けられる人もいます。
しかし、生活習慣病が起因して発症した脳梗塞を、なぜ生命保険で助けてもらう必要があるのでしょうか?
生命保険は、タダではありません。
私達が加入した際に支払う生命保険の保険料には、様々な経費が含まれています。
- 生命保険会社の人件費
- 店舗のテナント料
- 販促品
- 宣伝
- その他生命保険会社の経費
などなど。
これらの分も上乗せされた金額を、毎月私達は保険料として納めているのです。
本当に予測不可能な事態に対する備えは、神のみぞ知るという領域になってしまうので、妻や子供を抱えた大黒柱のお父さんなら生命保険の加入は必須でしょう。
しかし、生活習慣病がベースとなる脳梗塞なんて、お金をかけて食べた結果として病気になったということです。
これだけの無駄遣いをして病気にかかっている人が、世の中大勢いることに驚きます。
(生命保険と健康状態の関係[コレステロール 高い」、生命保険と健康状態の関係「血圧 高い」、生命保険と健康状態の関係「狭心症」
を参考にしていただけるとよいかと思います。)
今70代以降の人達が若い頃には、まだ車は1家に1台ではありませんでした。
自分達が高度経済成長期を支え、収入が増えていく中で購入したものです。
しかし、私達30代は子供の時にはもう、1家に1台車があるのは当然という時代に生まれています。
それどころか、1人1台の時代です。
どこか出かけるのに自分の足で歩く必要もないし、おいしいものは安く手に入る・・・そんな時代に生まれてきたことは大変ありがたいことなのです。
だからこそ、意識していない人は「ああ年だなあ」と感じる前に、ある日突然発症して寝たきりとなってしまうのです。
若くして発症した人ほど、その後の人生が長い
私が一番驚いたケースでは、24歳のフリーター男性が脳梗塞で運ばれてきた時のことです。
正確に言うとその日私は準夜勤務でしたので、夕方に出勤して彼を目にしたのです。
170㎝そこそこの身長に対し、体重は124㎏。
ベッドが小さすぎて、横を向くスペースがありません。
通常の血圧計では、布(マンシェットという空気を入れるところ)の幅が足りなくて使えません。
オムツもはめられません。
体育会系の私ですら体位交換を1人で行うことができず、彼が動けるようになるまでは3人集めての体位交換でした。
彼ほどの体格になってしまうと、両親が自宅で介護することは不可能です。
どのくらい彼が危機感を抱いていたのかはわかりませんが・・・。
私達看護師と彼の両親は、その後リハビリ病院への転院を経て機能が回復しなかったら、24歳にして施設入所かと、ハラハラしていました。
そもそも、24歳という年齢は介護保険の効く年齢ではありません。
行く先の検討も全くありませんでした。
幸いなことに、片側に出現していた麻痺は治療とリハビリによって改善し、彼はリハビリ病院への転院はせず、外来通院でリハビリを続けることを条件に、そのまま自宅退院となりました。
しかし歩き方はびっこを引いたまままでしたし、そうなってからではダイエットのための運動もままならず、あまりこれといった体格の変化は見られませんでした。
私が脳外科病棟から異動した後も、脳梗塞を数回繰り返しています(あまりに有名なので、入院するとすぐ耳に入りました)。
細い血管が詰まった場合は、一過性の意識消失だけで社会復帰も可能です。
しかし、細い血管が詰まるということは、既に太い血管もリーチがかかっているということです。
おまけに、彼はまだ当時24歳。
心臓の機能的には、寿命まで60年近くあります。
若く発症した人ほど、その後長い人生を脳梗塞のリスクと共に生きていかなければなりません。
そして、20代や30代で脳梗塞を発症した人が新たに生命保険の加入を検討しても、引き受け拒否か相当不利な条件になるのは目に見えています。
健康に十分注意していたって脳梗塞を発症し、後遺症で苦しんでいる人達がいます。
それなのに、自分さえなんとか努力すれば防げる病気を予防せずに生命保険の加入を考えるのは、順番が間違っていると思いませんか?
ここ数年、健康診断で中性脂肪やコレステロール・HbA1cが高くなってきたな。
周囲の脳梗塞で倒れた人を見て、次は自分かと怖くなった。
そんな人がまず手をつけるべきなのは、自身の生活習慣の改善です。
今まで健康を意識していない人が、現代社会で「規則正しい食生活&適度な運動」をしているとは思えません。
生命保険は、これらを改善してからの加入でもよいのではないでしょうか?
むしろ、摂生してからの健康診断の方が数値はよくなるでしょうから、新規加入にはちょうどいいかもしれません。
自分自身も努力するし、「もしも」の備えも今すぐ万全にしたい!
というのであれば、生命保険の一番の基本商品である死亡保険から加入を検討してみてはいかがでしょうか。
もしもに対して見直すべきなのは、生命保険ではなくてまずは自分。
一番大切なことは何か、今のままの生活を続けていたらどうなることが予想されるのか、本当に自分の預貯金での備えは足りないのか。
保険商品を検討する前に、健康を含め自分という資産の棚卸から始めることをおすすめします。