閉店の看板
通っていたエステサロンが、ある日突然倒産してしまったら――。

想像しただけでもゾッとします。

しかし、エステサロンの倒産というのは決して珍しいことではありません。では、自分が脱毛で通っているエステサロンが倒産して閉店してしまったら、残っていた契約はどうなるのでしょうか?

「日本エステティック業協会が助けてくれる」はウソ!

エステサロンが経営破たんなどでなくなってしまった場合、「日本エステティック業協会」に連絡すれば代替サービスを受けられる、といった話がネット上に存在します。

要は、日本エステティック業協会に加盟しているエステサロンであれば、他の加盟店が残りの契約を引き受けてくれる、という話。

はい、嘘です!

日本エステティック業協会という団体は実在しますが、そのようなサービスはありません。電話で問い合わせたら向こうの人がポカンとしてたよ。「え? なにそれ(゚д゚)」みたいな顔が浮かびました。

たしかに、業界によってはそういうセーフティネットがあります。生命保険だと、万が一保険会社が倒産した場合には、生命保険保護機構という団体により救済されることになっています。保険会社では、そういった万が一のときのために責任準備金を積み立てているので、救済することも可能なのです。

ところが、エステサロンの場合、そういった対応をされていることはありません。日本エステティック業協会というのはあくまでもエステティック業界の振興を目的として運営されている団体であって、倒産時の引き受けのようなことはしていないのです。

ちなみに、日本エステティック業協会では「美容ライト脱毛相談室」を設置しており、脱毛に関するトラブルなどの相談をすることはできます。

日本エステティック業協会公式サイト

残りの契約は返金されない可能性が高い

残念ながら、万が一脱毛エステサロンが経営破たんなどで閉店してしまうことになった場合、契約者に残金が返金される可能性は低いです。

エステサロンが閉店してしまうということは、契約者に返金するだけの資金力が無いことも珍しくありません。また、多少の資金が残っていたとしても、まずはそのエステサロンで働いていた人への補償が優先されます(民法308条により、「先取特権」が認められている)。

もちろん、契約者に返金するだけの力が残っていれば、返金されなければなりませんよね。

もし、通っている脱毛エステサロンが閉店してしまい返金に関する連絡などもなければ、消費者センター等の相談窓口に問い合わせるのがおすすめです。前述の日本エステティック業協会でも、加盟店に該当していればどうなっているのか情報は教えてもらえますから問い合わせてみましょう。

場合によっては法的手段で返金してもらえることもありますので、焦らず冷静に、かつ迅速に動くようにしましょう。時間が経つほど、回収が難しくなります。

過去の例を見てみると、ほとんどのケースでは一切の返金は無く、泣き寝入りするしかなかったという状態です。中には、救済してくれるエステサロンが現れて契約者の残りの契約については代わりのエステサロンが引き継いでくれた、ということもあります。ある程度の規模のエステサロンが倒産した場合は、契約者を引き受けることで自社の顧客として引き入れられるというメリットもあるため、引き継いでくれるエステサロンが現れることもあるかもしれません。

※前受金の保全措置

エステサロンによっては、前受金の保全措置をとっていることもあります。もし、連絡がなかったとしても、こちらから連絡すれば返金に応じてもらえる可能性があります。エステサロン側と連絡がとれる状態なら、まずはエステサロンに直接連絡してみましょう。

※銀行・クレジット会社への連絡

エステサロンのプランの中には、月額制・月謝制というものもあります。分割払いではなく、月々一定額を払っていく形ですね。この場合は先払いしているわけではないので、請求を止めることができます。銀行引落の場合は銀行へ、クレジット払いの場合はクレジット会社へ連絡して支払を止めましょう。

脱毛エステサロンが倒産するかどうかは分からない

今通っている脱毛エステサロンが今度どうなるかは、誰にも分かりません。上場企業であれば財務データなどを見てある程度判断できる人もいますが、脱毛エステサロンで上場しているところは無いため、この方法は使えません。

ただ、万が一倒産した場合にはどうなるのか、ということは聞いておきましょう。できれば契約前に確認しておきたいですが、すでに契約して通っている人の場合は、施術中にでも聞いてみてください。そこで、きちんとした回答が返ってくれば倒産したとしても返金が期待できます。逆に、きちんと回答できない場合は高額な契約は避けた方が無難です。

また、エステサロンが倒産する前の兆候として、以下の点にも注意が必要です。

現金払いを勧める

カード払いができる店なのに現金払いを勧めてくる場合、資金繰りが悪化している可能性があります。

追加契約や商品を勧めてくる

コスメや美容機器の購入を勧めてきたり追加契約を勧めてきたり、ということはエステサロンではよくあることです。ただ、今まで勧誘なんて無かったのに妙に勧誘が増えた、と感じた場合は注意してください。

脱毛エステサロンの場合は、代金ははじめに一括で支払うのが普通です。つまり、経営状態が悪いエステサロンだと、追加契約などが無いと顧客から現金を引き出すことができません。追加契約等をむやみに勧めてきたり、さらに現金払いを勧めてきたり、という場合は注意した方がいいでしょう。

とは言え、実際にはどの脱毛エステサロンがいつ閉店するか、なんていうことは誰にも分かりません。そこで働くスタッフですら、直前まで知らされていなかったりするものです。

そういう意味では、個人店などの小規模なエステサロンよりも、大手エステサロンの方が安心感はあると言えますね。どうしても怖いという人は、無理に高額契約はせず、都度払いにしたり月額制にしたりして大金を先払いしないようにするといいでしょう。